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定額補修分担金は消費者契約法10条違反か否か? --京都地裁で正反対の判例--

消費者契約法10条違反とした判決

 消費者契約法10条は「消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」とした法律である。
 京都地裁4.30判決(中村哲裁判長)においても、定額補修分担金の支払いは消費者契約法10条に違反し無効であるとの訴えであった。
 京都地裁は、通常損耗における回復費用は賃料に含めて回収されているとして、賃貸借契約が終了した時に、賃借人には通常損耗についての原状回復義務はないとの前提に立って、判断を下した。
 定額補修分担金についての特約は、原状回復費用や原状回復費用から通常損耗分を控除した金額が、定額補修分担金の金額を下回った場合に、その分の返還を規定していないので、借り主は本来負担しなくてもよい通常損耗分の負担を強いられるので、民法の規定に比較して「義務を加重する契約」と認定した。
 また分担金額を貸し主が一方的に決定していること、分担金額が月額賃料の約2.5倍程度としていること(借り主に軽過失損耗の発生は通常多くはなく、その原状回復費用が月額賃料の約2.5倍と考えることはできないとした)を理由に消費者契約法10条違反とした。
 貸し主側は、定額補修分担金特約は、貸し主、借り主が原状回復費用をそれぞれ負担することで、リスクと負担を分け合う交換条件的内容を盛り込んだものと主張したが、認められなかった。

消費者契約法10条違反ではないとした判決

 また前記訴訟と同じく、消費者契約法10条違反で定額補修分担金の支払いを無効にするよう求めた訴えがあったが、京都地裁9.26判決(吉川愼一裁判長)は定額補修分担金の金額が借り主の負担すべき原状回復費用より高くなる可能性を指摘して「義務を加重する契約」としたが、原状回復費用が高額になった場合にも追加請求得されないなどを挙げ、借り主の負担は軽減されるとして「消費者の利益のみが一方的に害されたとは言えない」として請求を棄却した。
 定額補修分担金条項を合法とした判決は全国初といわれている。

礼金の返還請求控訴を消費者契約法10条違反ではないとして棄却した判決

 京都地裁では礼金についても注目すべき判決が出た。賃貸借契約時に支払った礼金を消費者契約法10条違反として借り主が貸し主に礼金18万円の返還を求めた控訴審があった。
 原審は礼金を返還しない旨の約定は有効であるなどとして、訴えを棄却していた。
 控訴審でも、「礼金約定が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるような事情は認められない」として礼金約定が消費者契約法10条に反し無効であるということはできないとして棄却した(京都地裁9.30判決・吉川愼一裁判長)。
 控訴人は、礼金は何らの根拠もなく、何の対価でもなく、賃借人が一方的に強要されている金員であるから本件礼金約定は不合理でその趣旨も不明確と主張した。
 それに対し吉川裁判官は、「賃料とは、賃貸人が、賃貸物件を賃借人に使用収益させる対価として、賃借人から受領する金員」であると定義して、民法614条で建物賃貸借において毎月末を賃料の支払時期と定めているが、これは任意規定であるとして、「賃貸借契約成立時に賃料の一部を前払いさせることも可能」として、前記賃料の定義から「賃料という名目で受領したか否かにかかわらず、賃貸人が賃貸物件を使用収益させる対価として受領した金員が賃料に該当する」との判断を示した。

※この両判決に関する判決全文は京都地方裁判所の判例検索から閲覧することができるので参考にしていただきたい。