国交省が要望した平成22年度税制改正の主要事項は、Ⅰ.豊かな暮らしの実現、Ⅱ.低炭素社会の構築、Ⅲ.国民の安全・安心の確保、Ⅳ.我が国の活力・成長力の強化の4点に集約されています。
この主要項目から、賃貸住宅関連を挙げると、Ⅰ.豊かな暮らしの実現では、良質な住宅ストックの形成、バリアフリー化の推進、住宅バリアフリー改修促進税制(固定資産税)の延長、Ⅱ.低炭素社会の構築では、住宅に係る省エネ改修促進税制(固定資産税)の延長、Ⅲ.国民の安全・安心の確保からは、地震対策の推進−事業用建築物に係る耐震改修促進税制の延長などがあります。
(1)民間賃貸住宅に係る特例措置の創設(所得税、法人税、固定資産税等)
良質な民間賃貸住宅ストックの形成を促進するため、耐久性、省エネ性能等が確保された住宅の建設を促進する特例措置を創設するとしています。具体策として、所得税・法人税の割増償却、5年間40%増(耐用年数35年以上の場合は55%増)としています。
次に、省エネ改修等関係として、京都議定書における温室効果ガス排出量6%削減および2012年以降の中長期的な削減目標を達成するため、エネルギー起源の二酸化炭素排出量が増大している民生部門、特に家庭部門における省エネルギー対策が急務になっていることから、持ち家に比べ省エネルギー化が遅れている賃貸住宅について既存住宅の省エネ改修の促進を図るための特例措置を設けるというものです。
具体策として、賃貸住宅の省エネ改修促進のための特例措置として、賃貸住宅について一定の省エネ改修工事(窓の改修、床・天井・壁の断熱化)を行った場合、翌年度分の固定資産税を3分の1減額するというものです。
また、所得税、法人税についても、賃貸住宅について断熱性向上のための窓の改修等の工事に係る特例措置を講じるとしています。
(2)既存住宅に係る特例措置の拡充(贈与税、所得税)
既存住宅の改修を促進し、良質な住宅ストックを将来世代へ継承するため、既存住宅の質の向上に資するリフォーム(バリアフリー改修工事、省エネ改修工事および耐震改修工事)について、以下の措置を講じるとしています。
【贈与税に係る特例措置】として、
① 既存住宅の質の向上に資するリフォームの追加
② 住宅取得等資金の贈与について、相続時清算課税制度の非課税枠2,500万円に1,000万円を上乗せするとともに、65歳未満の親からの贈与も対象とする特例措置
③ 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に贈与税を非課税(500万円)とする特例措置
【所得税に係る特例措置】としては、
① 親等の住宅について、その住宅の質の向上に資するリフォームを行った場合、住宅の改修に係る所得税の特例を適用するとしています。
この施策による目標として、リフォーム実施戸数の住宅ストック戸数に対する割合を、平成11年から15年の平均2.4%から、平成27年までに5%に、また、既存住宅の流通シェアを平成15年の13%から平成27年までに23%にするとしています。
高齢者向け優良賃貸住宅建設促進税制の延長(固定資産税)
住生活基本法の基本理念を踏まえ、高齢者等が安心して快適に自立した生活を送ることのできる環境の整備を促進し、高齢者等の居住の安定の早期確保を図るため、段差の解消、手すり設置等のバリアフリー改修を行った場合の固定資産税の減額措置について適用期限を延長するとしています。(翌年度分の固定資産税を3分の1減額)
また、居住環境が良好な賃貸住宅の供給を促進するため、高齢者向け優良賃貸住宅建設促進税制の適用期限を延長するとしています。(固定資産税・120㎡相当部分につき5年間税額3分の2減額)
この施策による目標として、一定のバリアフリー化率29%(平成15年)から75%(平成27年)へ、高度のバリアフリー化率6.7%(平成15年)から25%(平成27年)へとしています。
一定のバリアフリー化とは、2箇所以上の手すり設置または屋内の段差解消
高度のバリアフリー化とは、2箇所以上の手すり設置、屋内の段差解消および車椅子で通行可能な廊下幅のいずれにも該当するものをいいます。
住宅に係る省エネ改修促進税制(固定資産税)の延長
地球温暖化防止に向けて二酸化炭素排出量の削減を図るため、既存住宅における省エネ性能の向上を推進する必要があることから、一定の省エネ改修工事を行った場合の特例措置の適用期限を延長するとしています。
既存住宅について、30万円以上の省エネ改修工事を行った場合、当該家屋に係る翌年度分の固定資産税額(120㎡までを限度)を3分の1減額。
対象となる省エネ改修工事は、①窓の改修工事、窓と合わせて行う②床の断熱工事、③天井の断熱工事、④壁の断熱工事で、改修部位がいずれも現行の省エネ基準に適合することになるもの、としています。
この施策による目標として、一定の省エネルギー対策を講じた住宅ストックの比率を18%(平成15年)から40%(平成27年)へとしています。
事業用建築物に係る耐震改修促進税制の延長(所得税、法人税)
耐震性が確保された良質な建築物ストックの形成を促進するため、建築物の耐震化率を平成27年までに90%まで引き上げることを目標にして、所得税、法人税の特例措置を講じるとしています。
特定建築物(事務所や賃貸住宅等の多数の者が利用する一定規模以上の建築物)に対する耐震改修促進法の認定計画に基づく耐震改修工事(当該特定建築物につき耐震改修に係る所管行政庁の指示を受けていないものに限る)について、耐震改修工事費の10%の特別償却(所得税・法人税)がなされるとしています。
この施策による目標として、多数の者が利用する一定の建築物の耐震化率を75%(平成15年)から約90%(平成27年)へとしています。