平成13年9月に発生した新宿区歌舞伎町雑居ビル火災では、44名もの死者を出す大惨事となりました。その原因は、新宿消防署による消防査察で指摘された消防違反が改善されないまま、防火戸付近に閉鎖の障害となるものが置かれるなど防火管理体制の不備によるものでした。そして同ビルのオーナー、テナント経営者、管理会社役員など6名は、業務上過失致死罪の容疑で起訴され、刑事責任を厳しく追及されています。
この火災を契機に、火災予防の観点から消防法が大きく改正されました(平成14年4月国会成立、平成16年6月公布)。火災予防に関する基本的な制度の見直しは28年ぶりのことで、違反是正の徹底、防火管理の徹底、避難・安全基準の強化が図られています。
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| 福岡県西方沖地震で揺れにより外れたマンションの電気温水器の配管 |
新宿歌舞伎町雑居ビル火災を契機に火災時の人命危険を少なくするため、火災の早期発見と警報を目的とした自動火災報知設備の設置、避難器具による避難経路を確保することなどとともに、建物の防火管理を充実するため消防法が改正され、住宅用火災警報器等の設置が義務付けられました。
新築については平成18年6月1日から施行、既存住宅については猶予期間が設けられ、施行は市町村条例で平成20年6月1日から平成23年6月1日の間で設置義務完了の期日が決められています。
1.避難通路が塞がれていた。
2.避難訓練を実施していなかった。
3.消防用設備等が点検されていなかった。
4.自動火災報知設備のベルが鳴らなかった。
5.防火戸が閉鎖しなかった。
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| 貯水槽の配管の破損により漏水したマンションのエントランス |
1.自動火災報知設備の設置義務の強化・拡大
2.避難器具の設備基準の強化
3.点検実施と報告書の提出の義務
4.立入検査と罰則の強化
5.オーナー責任の罰金は、最高1億円。
改正された消防法(第9条の2)では、住宅の所有者、管理者または占有者に、
1.住宅用防災警報器または、2.住宅用防災報知設備のいずれかの住宅用防災機器の設置および維持を義務付けました。
1.「住宅用防災警報器」とは、熱や煙を感知して警報音や音声で火災を知らせるものをいい、一般的には住宅用火災警報器とも呼ばれています。
2.「住宅用防災報知設備」とは、熱や煙を感知する感知器からの信号を受けて、受信が火災の発生を知らせる設備をいい、一般的には住宅用火災報知設備とも呼ばれています。
入居者の命を守るのは、賃貸住宅経営者としての責任です。改正された消防法を遵守し、万全の防火対策を講じましょう。
この対策を講じておけば、絶対に大丈夫という防災対策は、残念ながらありません。強いてあげれば、オーナー様にとって最も強い味方は保険ということになるでしょう。
最近は、各保険会社が保障内容を拡大した新しい保険を次々と発売しています。一般的には十年前、二十年前に付けた保険をそのまま続けるより、時代に即した新しい保険に入り直す方がよいとされ、各社から様々なケースに対応した商品も出されています。しかしまずは、現在加入している保険の保障内容を確認し、見直すことも必要でしょう。
この項の記述につきましては、全国賃貸管理ビジネス協会、社団法人全国賃貸住宅経営協会共著による『オーナー様のための防犯・防災対策のてびき』より引用させていただきました。
従来の火災保険は火災・落雷・爆発等による損害補償が中心でしたが、新商品タイプの火災保険には、防災/防犯に係わる補償がカバーできるものが増えており主流となっています。
新商品タイプの火災保険は賃貸経営を取り巻くリスクを超ワイドに保障する最高水準の保険です。
従来の火災保険と新商品タイプの火災保険の補償内容は表-1の通りです。
地震による建物の損壊は地震保険に加入していなければ補償されません
地震保険とは居住用の建物を対象に、政府と民間保険会社が運営している制度です。地震保険は火災保険と併せての契約となります。(地震保険のみの単独でのご契約はできません)
・火災保険+地震保険
・保険金額(付保金額)には上限があります。
・火災保険金額の30%~50%の範囲内、建物は5,000万円が上限
・マンション等のご契約の場合は1個室あたり5,000万円が上限
例えば、10個室のマンション⇒1個室あたり5,000万円×10個室=5億円
ただし、主契約である火災保険契約は1個室1億円以上、全体で10億円以上の付保が前提となります。
例)建物火災保険金額3,000万円⇒地震保険付保金額900万円~1,500万円
保険金のお支払について
地震保険の保険金お支払いは修理見積もりの取り付けでのお支払いではなく、建物の損壊状態(一部損:半損:全損)を調査、査定し支払われます。(外壁/柱/はり等を調査、査定)
例)建物火災保険金額3,000万円で地震保険付保金額1,500万円でご契約の場合
1)一部損(一部損とは損害が建物全体の3%以上20%未満と認定された場合)
一部損の場合はご契約金額の5% 1,500万円×5%=75万円
2)半損(半部損とは損害が建物全体の20%以上50%未満と認定された場合)
半損の場合はご契約金額の50% 1,500万円×50% =750万円
3)全損(全損とは損害が建物全体の50%以上と認定された場合)>
全損の場合はご契約金額(100%)
1,500万円×100%=1,500万円
4)地震による火災での補償は火災保険の地震火災費用でも補償されます。
(ただし、建物が半焼以上になったとき)
火災保険金額(火災保険の付保額)の 5%(300万円限度)
3,000万円(火災保険の付保額)× 5%=150万円

家賃保険(家賃特約)
火災等の事故により家賃収入が途絶した場合に備える保険
この特約は、一般的に「家賃保険」と呼ばれ、単独での引き受けは出来ず、住宅火災保険・住宅総合保険・普通火災保険・店舗総合保険等に付帯して引き受けます。火災により保険の目的である賃貸建物が損害を受け、その結果生じる家賃損失を担保するものです。この保険の被保険者は、保険目的の所有者でかつ、主契約の被保険者に限られます。
施設賠償責任保険
施設の管理者の負う第三者に対する賠償事故に備える保険
施設の安全性の維持・管理の不備や構造上の問題、または施設の使用に伴う仕事の遂行によって生じた対人・対物事故について被保険者(保険金の支払いの対象となる方)が第三者に対して法律上の損害賠償責任を負担する事によって被る損害に対して保険金を支払います。訴訟による弁護士報酬や被害者に対する応急手当、護送、その他緊急に要した費用も保険金支払いの対象となります。
保険金が支払われる場合
次のような対人賠償、対物事故により、法律上の賠償責任を負ったとき、保険金が支払われます。
(1) 施設の構造上の問題・管理不備による事故。
(2) 施設の使用に伴う業務遂行に起因する事故。
(例)
* ビルの窓ガラスが落下し通行人にケガをさせた。
* 火災が発生し来店していたお客様がヤケドを負った。
* 工場のタンクが爆発し近隣の民家を破壊した。
* 防火シャッターが突然落下し来店の買物のお客様がケガをした。
* 店内で従業員が商品を移動中、誤ってお客様にぶつけケガをさせた。
保険金が支払われない主な場合
(1) 保険契約者、被保険者の故意に起因する賠償責任
(2) 漏水、噴火、洪水、津波等の天災に起因する賠償責任
(3) 施設の工事に起因する賠償責任保険
(4) 従業員の業務従事中の死亡、ケガ、疾病に起因する賠償責任等。
この施設賠償責任保険は、「施設」を所有・使用・管理する方が、賠償責任の損害に備えるための保険です。
建物などの「施設」を所有・使用・管理することにより、他人に損害を与え法律上の賠償責任を負った場合に補償されます。また、事業などのための、各種の建物など「施設」の欠陥や、管理の不備で生じた偶然な事故、または、業務遂行中の不注意で生じた偶然な事故によって、損害賠償責任を負ったとき、他人にケガをさせたり、他人の物を壊した損害について、保険金が支払われますので、賃貸住宅経営に携わる方々にとって最も適した保険です。
加入されていない方々は、健全な賃貸住宅経営のための重要な災害対策の一つとして検討してください。