この5年間の警察庁の統計によりますと、窃盗犯罪が多発しているのは、東京都を筆頭に、愛知県、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、福岡県の順で、この上位7都府県で大半を占めています。ところが、この上位7都府県は平成15年をピークに件数が年々減少しています。これは防犯対策に注力した結果です。 オーナーが防犯対策を講じなければならないのは、入居者に安全な住宅を提供する社会的責任があるからです。それに、賃貸管理物件において盗難事件ないし盗難未遂事件が起きた場合、半年以内の退去率が4割超という統計があります。当然、盗難にあった物件の入居率は低くなります。空室対策という意味合いからも防犯対策は欠かせません。「転ばぬ先の杖」という諺ではありませんが、盗難事件後に防犯対策を行っても遅いのです。
防犯対策をするには、まず「泥棒の心理」を知らなければなりません。
今の窃盗犯は組織的・計画的で、必ず犯行前に物件の下見を行います。この下見の段階で、「この住居には侵入できない」と泥棒に犯行をあきらめさせなければなりません。
財団法人都市防犯研究センターによりますと、窃盗犯には、狙うための条件と諦める条件があるといいます。
狙うための条件は
1. 簡単に入り込める
2. 確実に稼げる
3. 捕まらない
です。逆に諦める条件として
1. 補助錠などで侵入に5分以上時間がかかる
2. 近所の人にジロジロ見られた、声を掛けられた
3. セキュリティシステムが付いていた
4. 防犯ガラスがついていた
5. センサーライトがついていた
6. 防犯ポスターを見た(全国賃貸管理ビジネス協会推奨の防犯ポスター)
を挙げています。この様に窃盗犯が諦める条件にしている事が、防犯対策の基本となります。

いかにも「防犯対策をしている」ことが外から見て分かるようにしないと防犯効果がありません。
まずドア側と窓側の防犯対策をして下さい。
ドアのカギの防犯対策の基本は「ワンドア・ツーロック」です。違う種類のカギを二つ付けることで、侵入に時間をかけさせることができます。
さらにドアの内側に「サムターンカバー」等を取り付ければ、サムターン回しにも対応することができます。
侵入犯罪の6割は窓ガラス等のガラス破りです。窓ガラスを破られにくくする方法は、ガラスを防犯ガラスにすることです。
防犯ガラスや防犯フィルムには防犯性のみならず、遮音性や紫外線カットの機能がありますので、静かで快適な室内環境を創りだせることから、物件の付加価値を高めることに役立つという利点もあります。
万全な防犯対策はオーナーの物件を守るのみならず、顧客信頼度を高めます。
つまり
1. 新規優良入居者の確保
2. 優良入居者の退室の防止
3. 安全確保に伴う資産価値の維持・向上
が図れます。
先に挙げた上位7都府県では、防犯対策の有無で入居率に大きな差が表れています。
防犯対策は、いまや空室対策、リスク対策という大きな役割を担っていることを考慮して、防犯対策を講ずるべきでしょう。
前回も紹介しましたが、ここでもう一度侵入の手口について実際に起きた現場写真とともに検証してみましょう。(写真は、全国賃貸管理ビジネス協会、全国賃貸管理業共済会、社団法人全国賃貸住宅経営協会共著による『オーナー様のための防犯・防災のてびき』掲載・株式会社中央ビル管理提供)
(1)ガラス破り(10~15秒で侵入)
写真1 サッシの網入り板ガラスをわってクレセントを開けて侵入したけーす
最近の侵入窃盗で一番多い手口(侵入犯罪の約6割がこの手口です)。クレセント(窓ガラスの錠)の周辺を破損し、そこから手を入れてクレセントを回して侵入します。通常のガラスだとわずか10~15秒しかかからりません。(写真1)
(2)ピッキング(1分以内に侵入)
ピックと呼ばれる金属製の特殊工具を鍵穴に入れ、ドアの錠を短時間であける手口です。ピッキング手口に対応した錠でなければ1分以内に侵入されてしまいます。
写真2 バール等でカギ本体を壊して侵入したケース
(3)ガギの破壊(2~3分以内に侵入)
バール等を使い、ガギ本体を破壊して侵入する手口です。最近はこうした荒っぽい方法が非常に多く、バールがそのまま凶器として使用される場合もあります。(写真2)
(4)サムターン回し
写真3 カギ横にドリルで穴を開け、その穴に針金等を入れてサムターンを回して侵入したケース
玄関ドアの外側からドリルで穴を開けるなどして、サムターン(内側のドアロック用つまみ)を強引に回して侵入する手口です。(写真3)
(5)ドアのこじ破り 写真4 ドアの隙間にバールを差し込んで、てこの原理でドア錠を破壊して侵入したこじ破りのケース
ドアと壁の隙間に、バール等を押し込み、てこの原理でドア錠を破
壊して侵入する手口です。(写真4)