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賃借人の居住安定確保に関する法律案が閣議決定


 家賃債務保証会社により、鍵の交換、深夜に及ぶ督促等、家賃等の悪質な取立て行為の発生が増加していることから、賃貸住宅の賃借人の居住の安定確保のための新法案が2月23日閣議決定され、来年4月の施行となる見通しです。
 新法案は、家賃債務保証会社のみならず、オーナーや仲介管理会社の家賃等回収業務にまで規制の対象となるため、同法案の内容は極めて大きな影響力を持っています。


 

法案成立の背景

 賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化および家賃等の取り立て行為の規制等に関する法律案が、この「賃借人居住安定法」「賃借人保護法案」「追い出し規制法案」と呼ばれているものです。
 近年、いわゆる「ゼロゼロ物件」の入居者などに対する追い出し行為の被害が相次ぎ、鍵の交換、深夜に及ぶ督促など家賃等の悪質な取り立て行為が平成16年に比べ10倍以上に増加し、被害にあった入居者から提訴される事案も増えています。
 昨年12月には、追い出し屋によって事実上退去させられた被害者が訴えた訴訟について、姫路簡裁は、追い出し行為に直接か関わった不動産会社に加え、家主に対しても「社会的に許されない」として、家主の使用者責任を認定する判決が出されました。
 こうした動きを受けて提示された「賃借人居住安定法」は、賃貸住宅の家賃等の悪質な取り立て行為の発生等の家賃の支払いに関連する賃貸住宅の賃借人の居住をめぐる状況にかんがみ、賃貸住宅の賃借人の居住の安定の確保を図るため、家賃債務保証業の登録制度の創設、家賃に係る債務の弁済の履歴に関する情報の収集および提供の事業を行う者の登録制度の創設、家賃等の悪質な取り立て行為の禁止等の措置を講ずるための法律案です。

 

法案の概要

 この法案は、賃貸住宅の家賃等の悪質な取立て行為の発生等の家賃の支払に関連する賃貸住宅の賃借人の居住をめぐる状況に鑑み、賃貸住宅の賃借人の居住の安定の確保を図るため、①家賃債務保証業の登録制度の創設、②家賃に係る債務の弁済の履歴に関する情報の収集及び提供の事業を行う者の登録制度の創設(家賃等弁済情報データベースの登録制度)、③家賃等の悪質な取立て行為の禁止等の措置を講ずるという3本立ての構成で、全80条からなっています。
 うち最も対象者が広範なのが、家賃関連債権の不当取り立て行為を規制する第60条です。その趣旨は「悪質な取り立て行為による賃借人の私生活の平穏の侵害を防止」、対象者は「家賃債務保証業者、賃貸管理業者、賃貸事業者(大家)、取立事業者」となっています。

 

「賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」

 

第60条 家賃債務保証業者その他の家賃債務を保証することを業として行う者若しくは賃貸住宅を賃貸する事業を行う者若しくはこれらの者の家賃関連債権(家賃債務に係る債権、家賃債務の保証により有することとなる求償権に基づく債権若しくは家賃債務の弁済により賃貸人に代位して取得する債権又はこれらに係る保証債務に係る債権をいう。以下この条及び第六十二条において同じ。)を譲り受けた者又はこれらの者から家賃関連債権の取立てを受託した者は、家賃関連債権の取立てをするに当たって、面会、文書の送付、はり紙、電話をかけることその他のいかなる方法をもってするかを問わず人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。


 一 賃貸住宅の出入口の戸の施錠装置の交換又は当該施錠装置の解錠ができないようにするための器具の取付けその他の方法により、賃借人が当該賃貸住宅に立ち入ることができない状態とすること。
 二 賃貸住宅から衣類、寝具、家具、電気機械器具その他の物品を持ち出し、及び保管すること(賃借人及びその同居人からの申出があった場合を除く。)。
 三 夜間(社会通念に照らし連絡することが不適当と認められる時間帯として国土交通省令・内閣府令で定める時間帯をいう。以下この号において同じ。)以外の時間帯に連絡することが困難であることその他正当な理由がないのに、夜間に、賃借人若しくは保証人を訪問し、又は賃借人若しくは保証人に電話をかけて、当該賃借人又は保証人から訪問し又は電話をかけることを拒まれたにもかかわらず、その後夜間に連続して、訪問し又は電話をかけること。
 四 賃借人又は保証人に対し、前三号のいずれか(保証人にあっては、前号)に掲げる言動をすることを告げること。

 

 禁止される行為としては「人を威迫(人に不安を感じさせること)し、又は人の私生活もしくは業務の平穏を害するような言動」を一般的に禁止しています。面会や文書送付、貼り紙、電話等の手法を問われません。特に、鍵交換や住居内の私物撤去・処分、早朝・深夜の督促は堅く禁止されています。
 そして、この法案の柱となるのが、罰則です。悪質な取り立て行為と認定された場合、違反者には2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が課されています。

 


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