民間賃貸住宅実態調査とは
平成19年3月、居住用の賃貸住宅について、賃貸住宅標準契約書の見直しや賃貸住宅の維持・管理の適正化の促進等を検討するため、その実態に関する全国調査を実施した。
調査対象は、事業者向けに財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)の会員である賃貸住宅管理会社、家主向けに社団法人全国賃貸住宅経営協会(全管協)の会員である賃貸住宅経営者(家主)を対象にアンケートを行った。
事業者向けには934件を配布、回収件数204件、回収率は21.8%、家主向けは500件を配布、回収件数183件、回収率は36.6%であった。今回は、事業者の調査結果を紹介する。
各種一時金や連帯保証人等の賃貸住宅の市場慣行
平成17年4月~平成18年3月に契約した物件の内、賃借人から敷金・礼金・敷引金・更新料を徴収している割合及びその額についての表をご覧いただきたい。
地域によって様々だが、西高東低の傾向が見られる。これは関西圏、九州圏で敷引が慣行になっているためとみることができる。
一時金を徴収する主な理由としては、礼金(有効回答159社、複数回答)では「一時金収入として見込んでいる」(92社57.9%)、「損耗を補修するための財源」(88社55.3%)、「長年の慣習」(85社53.5%)の理由が全体の50%を超しているが、「家賃が低い分の収入の確保」(40社25.2%)ということも4社に1がその理由に挙げている。 敷引金(有効回答84社、複数回答)では「損耗を補修するための財源」(61社72.6%)が最も多く、「長年の慣習」(26社31.0%)と続く。
次に更新料(有効回答117社、複数回答)では、「一時金収入として見込んでいる」(962社53.0%)、「長年の慣習」(59社50.4%)などの理由が全体の50%を超している。
連帯保証人の確保と家賃債務保証サービスの関係(有効回答171社、複数回答)については、「連帯保証人のみ」(契約の比率58.5%)、「連帯保証人+債務保証」(同14.7%)合わせて73.2%の物件が必須としており、家賃保証サービスを利用した場合に連帯保証人の確保を求めない物件は24.8%となっている。(表および円グラフ参照)
家主が連帯保証人の確保を契約条件とする理由(有効回答193社、複数回答)としては、「滞納家賃への不安」が93.8%と最も多く、「残置物処理費用」(67.9%)、「緊急連絡先の確保」(57.5%)となっている。また、過去に連帯保証人を確保しなかったために「未収の原状回復費が派生」(37.3%)という理由も挙げられている。
また、家賃債務保証サービスの利用を認めない物件や、利用は認めても世帯保証人の確保は引き続き求める物件が存在している理由(有効回答179社、複数回答)については、「緊急連絡先の確保」が86.6%と最も多く、「いない人は不安」(39.1%)、「債務保証は限度がある」(27.9%)と続く。
賃貸住宅の管理等の状況
次に、家主が賃貸住宅経営に携わった動機(有効回答193社、複数回答)については、「資産の有効活用を図る」が69.4%と最も多く、続いて「相続対策」(61.1%)、「将来の生活安定と老後の保証」(43.0%)、「住宅を相続した・譲り受けた」(39.4%)となっている。
今また不動産投資がブームを呼んでいるが、「投資先として利回りが高かった」という理由については22.3%にとどまっている。
次に、賃貸管理会社が受託している業務内容(有効回答189社、複数回答)については、「入居者の募集・選定」「賃貸借契約の締結・更新」「入退去時の立会い」「家賃等の徴収・改定・督促」「設備の維持・管理」「建物周辺の清掃・管理」「各種トラブル処理」「敷金の精算」「退去後のリフォームの監理」など多岐にわたっているが、この他にも「滞納者の就労斡旋」「高齢者の安否確認」など、職業安定所や介護センターのような管理の基本メニューに掲げている管理会社もあるようだ。
入居者が死亡した場合や行方不明になった場合の残置物の処理について、法定相続人と連絡が取れない時の対応(有効回答189社、複数回答)としては、「保証人や緊急連絡先と相談し、その意向に従う」が最も多く83.1%、次いで「弁護士などの専門家と相談」が42.9%となっている。
しかし、「残置物を撤去し、別の場所に保管し、一定期間後に処分」(27.5%)、「リストを作成し、第三者の証明印をもらって処分」(6.9%)、「金銭的価値が低いと思われる残置物は廃棄」(10.6%)という対応をとっている管理会社もある。
入居者が死亡した場合と行方不明とでは異なるが、勝手に残置物を搬出して処分することは窃盗罪・器物損壊罪が成立する可能性もあるし、民事上では損害賠償請求の危険に晒されることもあるので、残置物については細心の注意が必要だ。
また、
法定相続人との間で生じたトラブル(有効回答177社、複数回答)については、経験したことのない管理会社は79.1%と約8割となっており、過半を占めているが、トラブルになる場合の内容としては、「保管・処分費用を誰が負担するか」、「原状回復費用の負担割合」などの理由でトラブルが生じている。(表参照)

この実態調査は、今回紹介した事業者の他に家主に対しても行われ、事業者とほぼ同じような集計結果となっている。アンケート項目は、この他にも「賃貸住宅の維持・修繕の状況」についても行われているので、機会があれば紹介させていただく。