

また、死者が発生した火災を時間帯別にみると、22時から翌朝6時までの睡眠時間帯における死者が最も多く、その時間帯の死者数を合算すると466人で全死亡者数の44.9%を占めている。火災の発生に気がつかないために逃げ遅れて亡くなる方が多いのである。
高齢化が進むなかで、このままの状況が続けば今後ますます死者数が増加すると考えられる。((3)住宅火災による死者数の時間別割合参照)

アメリカでは1970年代後半には火災によって約6,000人の死者が発生していたが、2002年には住宅用火災警報器等の普及率が90%を超え、死者数が3,000人弱とほぼ半減した。
イギリスの場合も同様で、80年代後半の住宅用火災警報器等の普及率が10%未満の時、700人以上の死者数だったが、90年代に入る普及率が80%を超すと450人程度の数字に減少している。
日本の住宅火災においては、住宅用火災警報器等が設置されていた火災と、設置されていなかった火災を、住宅火災100件当たりの死者数で比較すると、設置されていた場合には約3分の1の死者数となっている。火災による被害から身を守るためにも、早期に設置することが望まれる。((4)住宅用火災警報器等の設置効果参照)
消防庁では住宅用火災警報器を設置していた家庭における奏功事例を公表している。以下に紹介しよう。
[事例1]
2階で就寝していた男性が、階段の天井に設置した住宅用火災警報器の鳴動に気づき目を覚ました。ドアを開け階段を出ると煙が漂っており、さらに1階へ降りると祖母の居室の仏壇から炎が上がっているのを発見した。
男性は台所にあったバケツなどで水道水をかけて消火し、自宅の電話から119番通報をした。
[事例2]
女性が鍋に牛乳を入れ、コンロで温めていたことを忘れて出掛けたため、鍋の空焚きとなり、台所の住宅用火災警報器が作動した。夫が警報器の鳴動に気づき、台所に行きコンロの火を消した。なお、発見が早く火災にはいたらなかった。

消防法で設置が義務づけられているのは煙を感知する(煙式)住宅用火災警報器。取付けについても天井埋め込み型、天井露出型、壁露出型等のタイプがある。電源もAC100V式、電池式がある。電池式には電池寿命が10年でメーカー保証も10年というものもある。また、警報音もブザータイプとブザー+音声タイプのものも販売されている。
検知方式は、寝室・階段などに取付ける煙式(光電式)、車両や台所などに適し、一定の温度に達すると音や音声で知らせる熱式(定温式)タイプのものがある。
住宅用火災警報器等を取り付けるのは、住宅の関係者(所有者・管理者または占有者)と定められており、持ち家の場合はその所有者が設置し、アパートや賃貸マンションの場合は、オーナーと借受人が協議して設置することになる。
入居者の生命を守るのは、賃貸管理責任者としての責任。改正消防法を遵守し、防火対策を講ずる必要がある。
さて、全管協会員さんで消防改正にいち早く注目し、住宅用火災警報器設置で業績を残している企業がある。富山市根塚町に本社を置く株式会社ハウジング林(林富雄代表取締役会長)である。
同社は、法改正はビジネスチャンスと捉え、セミナーを開催してまずオーナー教育を開始した。オーナー負担で設置してもらうのだから当然と言えば当然の話だが、オーナーに対して、法律で定められたことであるのだから少しでも早く対応すれば安心・安全の面で他の物件と差別化が図れ、空室対策になることを強調した。
入居者には、消防法が改正され全ての居室に住宅用火災警報器設置が義務づけられ、このマンションの大家さんが入居者の方々の安全で安心なマンションライフをお届けすることを最優先と考え、いち早く火災警報器を設置する旨の『お知らせ』文書に工事日、取付場所、取付時間を明示し配布することで、工事に対する抵抗感を取り除いていった。
同社は現在、自社の管理物件のほとんどに住宅用火災警報器を設置しているという。
同社の販売のポイントは、オーナーに対する徹底した教育である。法が改正され設置の義務があり、もし遵守しなければ法的責任を問われるということをオーナーに認識してもらうということである。