平成19年6月、警察庁は『平成18年中における自殺の概要』を発表した。これによると、平成18年中における自殺者の総数は3万2,155人で、前年に比べ397人(1.2%)減少したものの、平成10年から9年連続で3万人の大台を超している。性別では、男性が2万2,813人で全体の70.9%を占めている。ちなみに女性は9,342人だった。
円グラフ1は、自殺者の年齢別状況を示したものだが、「60歳以上」が1万1,120人で全体の34.6%を占め、次いで「50歳代」が7,246人で22.5%、「40歳代」5,008人、15.6%、「30歳代」4,497人、14.0%の順になっている。
円グラフ2は、自殺者の職業別状況を示したもので、「無職者」が1万5,412人で全体の47.9%を占め、次いで「被雇用者」8,163人、25.4%、「自営者」3,567人、11.1%、「主婦・主夫」2,658人、8.3%の順になっている。
次に円グラフ3は、遺書があった自殺者の原因・動機別の状況を示している。これによると、「健康問題」が4,341人で全体の41.5%、次いで「経済・生活問題」3,010人、28.8%、「家庭問題」1,043人、10.0%、「勤務問題」709人、6.8%の順になっている。

政府は、近年3万人を超す自殺者が出ている状況を、その背景に様々な社会的要因があることを踏まえ、総合的な対策を早急に確立すべき時期にあることから、平成18年10月28日『自殺対策基本法』を施行した。
政府においては、これまでも各省庁レベルにおいて自殺予防対策に取り組んできたが、今後はこの自殺対策基本法に基づき、自殺の防止および自殺者の親族等への支援の充実を図るため自殺対策大綱を策定し、総合的な推進を図っていくこととした。
自殺対策基本法の目的は、自殺対策に関し、国、地方公共団体等の責務を明らかにし、自殺対策の基本となる事項を定めることにより、自殺対策を総合的に推進して自殺防止を図り、自殺者の親族への支援の充実にある。
その基本理念には、自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみとらえるべきではなく、その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取り組みとして実施されなければならないとし、自殺対策を総合的に策定、実施するのは国の責務、地方公共団体の責務であるとしている。
また、事業主は雇用者の心の健康の保持を図るため必要な措置を講ずる責務があると明文化されている。
さて、この自殺対策基本法に基づき、平成19年6月8日に閣議決定されたのが『自殺総合対策大綱』である。
この大綱は、社会的な取り組みにより自殺は防ぐことができるということを明確に打ち出すとともに、うつ病対策と併せ、働き方を見直すことや、何度でも再チャレンジできる社会を創造するなど、社会的要因を踏まえ、自殺対策に総合的に取り組むための指針になっている。
今後は、この大綱に基づき、地方公共団体をはじめ、医療機関、自殺防止に関する活動を行う民間団体と密接な連携を図りつつ、自殺対策を強力に推進していくとしている。
大綱は、6項からなり、1項では自殺の現状と自殺対策の基本認識を、2項では自殺対策の基本的な考え方、3項は世代別の自殺の特徴と自殺対策の方向、4項はこの大綱の目玉である自殺予防のための重点施策が、5項はこの対策における具体的数値目標が明確化され、6項で対策の推進体制が示されている。
前述したように、前回の特集からから2回目の今回までの1ヵ月で、自殺に関する最新のデータおよび国の自殺対策に関する大綱が発表されたので、その概要を説明した。
ここから、前回の続きである全住協『入居者の自殺・他殺・自然死に関するアンケート調査』における保険についてみてみよう。
円グラフ4は、(5)「自殺・他殺・自然死」に関する保険は必要かについての質問項目である。全体の87.1%が必要であると回答している。自殺が起きると、場合によっては長期間入居者がつかず空室になるケースがほとんどである。また、入居してもらうため家賃を下げざるを得ないのが現実である。さらに、風評被害が大きな問題となる。
ここで、全住協発行の『賃貸経営塾』第7号に『自殺という潜在的なリスクヘッジは保険』(ことぶき法律事務所弁護士田村宏次氏)という参考となる記事がある。要約して紹介しよう。
