賃貸管理会社を運営していく中で、日々起こる問題。中でも税制と法律という改正されることが多い分野について、分かり易く解説いたします。

- 平成19年〜20年にかけて期限付きで制定された「住宅ローン控除制度」。これの適用期限が延長されて、控除額に変更があったと聞きました。その詳細を知りたいのですが?[プレジデントNAVI Vol.1掲載]
- 長期優良住宅や既存住宅の改修工事において、所得税の特別控除が新設されたというのは本当なのでしょうか?長期優長期優良住宅や既存住宅の改修工事において、所得税の特別控除が新設されたというのは本当なのでしょうか?[プレジデントNAVI Vol1.掲載]
- 今年度の土地税制の改正で、「長期譲渡所得の特別控除制度」という特例措置が創設されたと友人が言っていました。その詳細について教えて下さい。[プレジデントNAVI Vol.2掲載]
- いわゆる景気の回復期間における税制の優遇措置として、平成22年までに事業用土地を購入すると圧縮記帳が出来るようになった、というのは本当なのでしょうか?[プレジデントNAVI Vol2.掲載]
- アパートの水漏れ事故で、当社の初期対応に手落ちもあり、被害者の苦情電話が毎回2時間も…。さらに請求額が法律の範囲を超えて、対応に困っています。[プレジデントNAVI Vol.3掲載]
- 今年(2009年)10月に施行される、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」、いわゆる「住宅瑕疵担保履行法」の概要を教えてください。[プレジデントNAVI Vol.3掲載]
- 平成21年の主な税制改正については前々号において、住宅・土地税制に関して概ね説明していただきましたが、相続・贈与税関係についてもその概略を知りたいのですが?[プレジデントNAVI Vol.4掲載]
- 平成21年度税制改正により、農地の相続税の納税猶予制度が改正されたと聞きました。これについて詳しいことが知りたいのですが?[プレジデントNAVI Vol.4掲載]
- 最近、不動産取引における消費者契約法が適用されるケースが非常に増え、実際にその裁判例も相次いで出されている状況です。消費者契約法に関してその概略を簡単に教えてください。[プレジデントNAVI Vol.5掲載]
- 業界の話題になっている更新料訴訟について、無効とされたり、有効とされたりと裁判所の判断も分かれています。これまでの更新料訴訟の経緯について教えてください。[プレジデントNAVI Vol.5掲載]
- 前号の更新料訴訟の他にも原状回復や敷金精算等、消費者契約法に関する訴訟事案がこのところ増えています。管理会社として、消費者契約法対策にはどうしたらよいでしょう。[プレジデントNAVI Vol.6掲載]
- 国土交通省は、家賃等の悪質な取り立て行為の禁止などを盛り込んだ「追い出し規制法案」(通称)を与党に提示しましたが、この新法案の概略はどういうものなのでしょうか。[プレジデントNAVI Vol.6掲載]
- 住宅・不動産関連の平成22年度税制改正について、どのような改正があるのか、その概要を教えて下さい。[プレジデントNAVI Vol.7掲載]
- 前号において、本年度の税制改正における相続税の『小規模宅地等の特例』の適用要件の見直しについて解説いただきましたが、もう少し詳しく教えてください。[プレジデントNAVI Vol.8掲載]
- 激増する賃貸トラブルの未然防止のため、日管協では「めやす賃料表示制度」を創設するとのことですが、この制度の概略について教えてください。
[プレジデントNAVI Vol.9掲載]
- 仲介業者の借主への事前説明義務について、業者は借主へどの程度まで説明を行う必要があるのでしょうか。[プレジデントNAVI Vol.9掲載]
- 昨今、企業活動におけるコンプライアンスに対する意識が高まっています。「法律遵守」と訳されますが、広義の意味でのコンプライアンスとはどういうことなのでしょうか。[プレジデントNAVI Vol.10掲載]
- 過去に企業のコンプライアンスを問われた事例で代表的なものが新宿歌舞伎町雑居ビル火災だと思いますが、この火災の顛末はどうだったのでしょう。[プレジデントNAVI Vol.10掲載]
- 仲介業者が賃借人に対して更新事務手数料を請求できるのでしょうか。[プレジデントNAVI Vol.11掲載]
- 当初賃貸借契約合意で定めた家賃は、変更できないのでしょうか。
借主から家賃の値下請求がきたときはどうするのでしょうか。[プレジデントNAVI Vol.11掲載]
- 最近、賃貸借の媒介等に当たり、宅建業法35条により宅建業者に義務付けられている「重要事項説明」に関するトラブルが増えていると聞きました。どのようなトラブル事例があるのでしょうか。[プレジデントNAVI Vol.12掲載]
- 未曾有の被害をもたらした今回の東日本大震災ですが、このような大災害が起きた場合に対応するために制定されている法律には、どのようなものがありますか。[プレジデントNAVI Vol.13掲載]
- 前号において災害対応に制定された法律で罹災法が紹介されていましたが、この法律における優先借家権とはどのような制度なのですか。[プレジデントNAVI Vol.14掲載]
- 敷引特約の有効性が争われた裁判で、最高裁は、敷引金が高すぎなければ有効と判断し、借主敗訴が確定しました。
今後の業務に影響を及ぼす重要な判決だと思いますが、簡単に裁判の概要について教えてください。
[プレジデントNAVI Vol.14掲載]
- 7月15日、注目の更新料裁判で、最高裁では「更新料は原則有効」との判決がでました。
不動産業界にとっては一安心といったところですが、この裁判の経緯と、今後の実務への注意点について教えてください。
[プレジデントNAVI Vol.15掲載]
- 近頃、「原状回復ガイドライン」再改訂が公表されました。その概要について簡単に教えてください。
[プレジデントNAVI Vol.16掲載]
- 『賃貸住宅管理業者登録制度』が12月1日よりスタートしました。この制度の概要について教えてください。
[プレジデントNAVI Vol.17掲載]
- 国土交通省が作成した「賃貸住宅標準契約書」が、このほど改訂されるようですが、改訂の主なポイントについて教えてください。
[プレジデントNAVI Vol.18掲載]
- 昨年12月10日に税制改正大綱が発表されました。平成24年税制改正のポイントはなんでしょうか。
[プレジデントNAVI Vol.18掲載]

- 平成19年〜20年にかけて期限付きで制定された「住宅ローン控除制度」。これの適用期限が延長されて、控除額に変更があったと聞きました。その詳細を知りたいのですが?
- 【答】
- 適用期限は5年間延長され、住宅ローン減税は一般住宅(最大控除額500万円)と長期優良住宅(最大控除額600万円)に区分されました。
【解説】
お話の通り、平成19年〜20年にかけて2年間の期限付きで制定された、「住宅ローン控除制度」の適用期限は、5年間延長されて平成25年までとなりました。また減税額などの内容も、下記の表のように拡充されています。 これらは、新築・購入等をして、住宅に入居した日の制度が適用されます。 例えば、平成21年1月1日から12月31日の間に入居した場合は、平成21年の制度となる訳です。 さらに今回の新たな住宅ローン減税では、一般住宅と長期優良住宅に区分され、一般住宅は最大控除額が500万円、長期優良住宅については最大控除が600万円となります。これまでの制度では、最大控除額が160万円でしたから、実に4倍近く引き上げられている訳です。 基本的に一般住宅の場合は平成21年〜22年に入居したケースで最大控除額が500万円と、減税のメリットが最も大きくなります。 一方、長期優良住宅は平成21〜23年の間に入居すると、最大控除額が600万円になり、より大きな支援が受けられるのです。

- 長期優良住宅や既存住宅の改修工事において、所得税の特別控除が新設されたというのは本当なのでしょうか?長期優長期優良住宅や既存住宅の改修工事において、所得税の特別控除が新設されたというのは本当なのでしょうか?
- 【答】
- 長期優良住宅の性能を強化した場合、10%相当額の特別控除(限度額1000万円)です。他に省エネ、バリアフリー、耐震等の修繕工事を対象とした投資型減税も導入されています。
【解説】
今回の税制改革では、「長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除」などが、新たに創設されています。基本的には、長期優良住宅にするうえで、性能を強化するため掛かった費用の10%相当額を、その年の所得税から控除する形です。もしも控除し切れない金額がある場合には翌年分から控除されます。 ただし、性能強化費用が1000万円を超える場合、1000万円が限度額となり、その10%が控除額となります。また、この控除は住宅ローン控除制度との選択制になっており、居住用財産の買換え等の特例と重複適用が可能です。支援制度の期限は、平成23年12月31日までとなります。 他にも、省エネ、バリアフリー、耐震等のリフォーム工事を対象とした、投資型の減税も導入されました。主な内容は次の通りです。
○省エネ改修○
居住者が、自己の居住用に供する家屋について、一定の省エネ改修工事(すべての居室の窓全部を改修するリフォームや、これと併せて行う床、天井、壁の断熱工事等が対象)を行った場合、工事費用が30万円を超えるなどの一定要件を満たし、なおかつ工事費用が200万円以上となる際は、200万円(併せて太陽光発電装置を設置する場合は300万円)の10%が、その年の所得税額から控除されます。期限は平成21年4月1日から平成22年12月31日となります。
○バリアフリー改修○
一定の居住者(@50歳以上、A要介護または要支援の認定を受けている、B障害者である、C前記のAもしくはBに該当するか、65歳以上のいずれかの人と同居している)における、自己の居住の用に供する家屋について定めたものです。例えば一定のバリアフリー改修工事(廊下の拡幅、階段の勾配の緩和、手すりの設置等)を行った場合、工事費用が30万円を超えるなどの一定要件を満たし、工事費用が200万円以上となる際は、200万円の10%が、その年の所得税額から控除されます。期限は平成21年4月1日から平成22年12月31日となります。
○耐震改修○
住宅に係る耐震改修促進税制(税額控除対象金額「上限200万円」の10%を、その年の所得税額から控除)について一定の措置を講じると適用期限が5年延長されます。これらの他に、増改築等の控除額の特例措置となる「住宅省エネ改修工事等の特例」や「住宅バリアフリー改修工事等の特例」もリフォーム工事を対象としたローン型減税の適用が5年延長されます。

- 今年度の土地税制の改正で、「長期譲渡所得の特別控除制度」という特例措置が創設されたと友人が言っていました。その詳細について教えて下さい。
- 【答】
- 平成22年12月31日までに取得した国内の土地が対象。取得後5年を経過してから土地を譲渡した時に、長期譲渡所得金額から1000万円の控除が出来るというものです。
【解説】
「長期譲渡所得の特別控除制度」は、個人または法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの2年間限定として、その間に取得(特別の関係がある者からの取得並びに相続、渡所得金額から1000万円の控除が出来るというものです。 例えば、下図のように平成21年に4000万円で土地を購入し、平成27年に売却したとします。 その時に土地が、5000万円で売れた場合、一体どうなるでしょうか? 売値の5000万円から取得費の4000万円を差し引くと、1000万円の利益が発生します。本来は仲介手数料などもありますが、ここでは考慮せず仮に1000万円の利益が出たとしましょう。 従来は、これに対して長期譲渡所得として、所得税15%、住民税5%の合計20%もの税金が掛かりました。1000万円に対する20%ですから、200万円を支払う形です。しかし前述した通り、今回の税制改正によって、平成21年、22年に取得した土地については1000万円の控除が出来るという事になっています。 ですから、特別控除として1000万円を差し引けば、課税額は0となり、税金も発生しません。
なお、これについては個人、法人ともに適用があります。 ただし、この特例は該当する土地などを譲渡した年において、収用などによる買換え特例や、固定資産の交換特例、居住用財産の特別控除などの適用を受けた場合には認められません。

- いわゆる景気の回復期間における税制の優遇措置として、平成22年までに事業用土地を購入すると圧縮記帳が出来るようになった、というのは本当なのでしょうか?
- 【答】
- 平成22年12月31日までに取得した国内の土地が対象。取得後5年を経過してから土地を譲渡した時に、長期譲渡所得金額から1000万円の控除が出来るというものです。
【解説】
このお話も本当です。
「平成21年及び平成22年に土地などの先行取得をした場合の課税の特例」は、事業者が平成21年1月1日から、平成22年12月31日までの期間内に、国内にある事業用土地などを取得したケースが対象となります。 ただし、この特例を受けるには、その取得の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに、この特例の適用を受ける旨の届出書を、納税地の所轄税務署長へ提出する必要があります。 内容としては、土地の取得日を含む事業年度終了の日から10年以内(平成21年に購入した場合、平成22年1月1日から10年で、平成32年12月31日までの間)に、その事業者が、所有する他の事業用土地などを譲渡した時は、先行取得した分について圧縮記帳を出来るというものです。 ただし上限があって、所有する他の事業用土地などに関わる譲渡利益金額の100分の80(譲渡の日を含む事業年度において、この特例の適用を受ける先行取得土地などが、平成22年1月1日から同年12月31日までに取得されたものだけなら100分の60)相当額が限度となります。 例えば図のように今期、25億円でA土地を購入し、
6年後の平成27年にB土地を売却したとしましょう。 その時の売値が30億円、帳簿価額が10億円で、譲渡益は20億円出たとします。 このままいくと、従来は個人であれば税率20%で、4億円の納税となります。しかし今回の特例により、平成21年に取得したA土地において、20億円の利益が出たうちの80%の譲渡利益を、買換え資産として圧縮して良い事になった訳です。
つまり「20億円×0.8=16億円」について、損失を計上出来るという事です。 ですから、その部分は税金を納める必要がないため、売却した土地が16億円、圧縮された形になる訳です。このお話も本当です。

- アパートの水漏れ事故で、当社の初期対応に手落ちもあり、被害者の苦情電話が毎回2時間も…。さらに請求額が法律の範囲を超えて、対応に困っています。
- 【答】
- いわゆるクレーマーに対応するには、相手の出方によります。まずは社内解決か専門家に依頼するか、その判断をして下さい
【解説】
通常の苦情処理は担当者で良いのですが、法律上認められないような要求や、常識を逸脱するような行動を取る相手方との対応については、注意が必要です。 まず、初期対応でミスをした担当者は、交渉担当から外します。「取るべき責任はキッチリ取るが、不当な要求には応じられない」という毅然とした態度で交渉に臨む必要があるからで、落度があった担当者ではその態度が取り難いのです。
なお、相手方が次のような人物であれば、早めに弁護士に相談して下さい。@いわゆる公共良俗に反する組織と同じような態度を取る。A粘着質で、常識的な話が出来ない。B担当者のミスが大きく、会社外の人物を交渉担当者とした方が良い場合。次に、具体的な対応・解決方法に関してですが、交渉しても解決の見通しがつかなければ、弁護士名で会社の対応(譲歩出来る条件)を連絡してもらいます。
また、調停の申立を行い、第三者である調停委員から相手方を説得してもらうのも手です。さらに、債務不存在(相手方が要求している債務はこちらにはないという意味)の確認請求訴訟を提起し、裁判所で和解に持ち込むのも方法です。 直接相手と向かい合って交渉する際の注意点を挙げると、まずは相手方の家には行かない事です。相手方の家の近くでも良いので、喫茶店やホテルのロビー等を交渉場所として下さい。
二つ目の注意点は、単独で交渉しない事です。一人だと、後で「言った」、「言わない」という水掛け論になる可能性があるからです。 三つ目は、交渉内容をICレコーダー等で録音する事です。録音を相手方に断る必要はありません。第三者間の会話を隠し取りするのは法律違反ですが、当事者間の会話は問題ないからです。 社内解決するにせよ、弁護士に頼むにせよ、いずれにしても早めに弁護士等の専門家に相談する事をオススメします。

- 今年(2009年)10月に施行される、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」、いわゆる「住宅瑕疵担保履行法」の概要を教えてください。
- 【答】
- 新築住宅の売主または請負人が、お客様に新築住宅を引き渡す際には、「保証金の供託」または「保険への加入」が義務化されます。
【解説】
住宅瑕疵担保履行法(以下、履行法)の目的は、新築住宅を供給する事業者(新築住宅の売主である宅建業者等)に対して、瑕疵担保責任の履行を確保するため、
「保証金の供託」または「保険への加入」のいずれかの資力確保措置を義務付ける事で、売主または請負人の瑕疵担保責任を確実に履行させる事です。
履行法の対象は、新築の戸建住宅や分譲マンション、賃貸住宅等の「住宅」です。一方、事務所や倉庫、車庫等は住宅でないため、対象ではありません。
補修や損害賠償金の支払いが確実に履行されるための資力確保には、二つの手段があります。一つは「供託」です。供給した新築住宅の補修に要する費用等の支払いが出来るように、
過去の供給戸数に応じて算定された金額の現金等を供託所に預けておくものです。 もう一つは「保険」です。履行法に基づき国土交通大臣が指定する「住宅瑕疵担保責任保険法人」との間で、瑕疵が判明した場合に
保険金を支払う事を約した保険契約を締結するものです。 新築住宅の売主や請負人はこのいずれかの手法を使い、資力確保措置を講じなければなりません。
なお、すべてを供託もしくは保険とするのも、例えば100戸のうち50戸を供託、残りを保険という組み合わせも可能です。また、年2回の基準日(3月31日と9月30日)に、
供託や保険契約の締結状況を国土交通大臣または都道府県知事に対して報告する義務があります。届け出内容に虚偽や供託等の資力措置を講じずに新たな契約を締結した場合には、罰則等が科せられます。

- 平成21年の主な税制改正については前々号において、住宅・土地税制に関して概ね説明していただきましたが、相続・贈与税関係についてもその概略を知りたいのですが?
- 【答】
- 住宅取得資金贈与の際の非課税枠が拡大されたことと、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度が創設されました。
【解説】
まず一番目は、住宅取得資金贈与の非課税枠が拡大されことです。平成21年1月1日から平成22年12月31日までの2年間に20歳以上の個人が、父母又は祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合は、
従来110万円まで非課税でしたが、500万円プラスされ、610万円まで非課税となりました。また、相続時精算課税制度の住宅取得資金贈与の特例についても従来3500万円まで非課税でしたが、
500万円プラスされ、4000万円となりました。
二番目は、非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度が創設されたことです。一定の要件を満たす認定承継会社の代表権を有していた被相続人から、相続又は遺贈により、
その非上場会社の株式等を取得した一定の者が納付すべき相続税額のうち、その非上場株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税額については、相続人の死亡の日まで猶予される制度が創設されました。
※平成20年10月1日以後の相続等から適用されます。
三番目は、非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度の創設です。一定の要件を満たす認定贈与承継会社の代表権を有していた者が、その親族で一定の要件を満たす者に所有する認定贈与承継会社に係る非上場株式等を一括贈与する場合には、
その贈与税について贈与者死亡の日まで猶予される制度が創設されました。
※平成21年4月1日以後の贈与から適用されます。
四番目は特定同族会社株式等に係る相続税の特例が廃止されました。中小企業のオーナーが所有する自社株について、一定の要件を満たすと相続税の課税価格を10%評価減する制度が平成21年3月31日でもって廃止された事です。
五番目は、特定同族会社株式等の贈与に係る相続時精算課税の廃止です。60歳以上の父母から一定の株式等の贈与を受けた場合、一定の要件を満たした時は相続時精算課税制度が受けられましたが、平成20年12月31日にて廃止されました。
平成20年12月31日までにこの特例を適用した人は、新設された非上場株式にかかる相続税の納税猶予が適用されます。

- 平成21年度税制改正により、農地の相続税の納税猶予制度が改正されたと聞きました。これについて詳しいことが知りたいのですが?
- 【答】
- 平成21年度税制改正により、市街化区域外の農地について、自作農ではなく、農地を貸付けた場合でも、相続が発生した際には相続税の納税猶予制度が適用されることになりました。一方で、新たに納税猶予の適用を受けるための要件が「20年営農」から「終生営農」へと厳しくなりました。
【解説】
農林水産省によれば、穀物価格の高騰や輸入食料品の安全性への不安が増大しているなか、日本の農地面積はピーク時の約7割の水準にまで減少し、農業の担い手不在により耕作が放棄された農地が増加しているなど、現在日本の農業は様々な問題を抱えています。
そこで、これ以上の農地の減少を食い止め、農地を確保する等の目的のため「農地等の一部を改正する法律」(改正農地法)が改正され、農地法、農業経営基盤強化促進法等についても見直しが行われました。それに伴う税制支援として農地の相続税納税猶予制度の見直しが行われています。
納税猶予制度については、農業経営基盤強化促進法に基づいて農地を貸付けた場合には納税猶予が継続されるように見直されています。
農地の相続税の納税猶予制度とは、農業相続人が、農地を相続によって取得し、農業を継続する場合は、一定の条件の下に、その農地に係る相続税額のうち、農業投資価格(農地等が恒久的に農業に供される土地として、自由な取引がされる場合に、通常成立すると認められる価格として国税局長が決定した価格)を
課税価格とみなして計算した税額を超える部分について納税猶予期限まで納税が猶予される制度です。納税猶予により農地に課税される相続税額の大半が猶予されることになります。
三大都市圏の特定市の市街化区域内にある農地については、生産緑地に該当するものに限り納税猶予の対象です。
【主な改正の目的】
@農地面積の減少を抑制する等により農地を確保する。
A農地制度基本を農地の「所有」から「利用」へ
B農地制度の見直しを前提として農地の相続税納税猶予制度を改正
【適用期日】
「農地法等の一部を改正する法律」の施行日以後の相続もしくは遺贈について適用されます。
この法律は本年6月24日に公布され6ヶ月以内に施行されます。

- 最近、不動産取引における消費者契約法が適用されるケースが非常に増え、実際にその裁判例も相次いで出されている状況です。消費者契約法に関してその概略を簡単に教えてください。
- 【答】
- 消費者契約法は、事業者と消費者との情報量や交渉力に相当な格差があることにより生ずる不利益を是正し、消費者の利益を保護することを目的に制定された法律です。
【解説】
消費者契約法は、消費者被害が集中するような取引類型、例えば、マルチ商法や悪徳商法などの類型に適用されて一定の効果を発揮されることが期待されますが、
こうした類型の取引にのみ適用されるものではありません。不動産取引については、宅地建物取引業法を守って仕事をしていれば、消費者契約法違反ではないという誤解も少なくありません。
しかしそれは正しい認識ではありません。
確かに、わが国には昭和27年に制定された宅地建物取引業法という整備された法律が存在していますので、不動産業界では、消費者契約法が制定された場合でも宅地建物取引業法の取引については、
適用除外にして欲しいとの要望を出していました。しかし、宅地建物収引業法の規制は、行政処分や罰則の適用が主なものであり、契約の法的効力について規制することを主な内容とするものではないことから、
立法サイドの対応は、それでは不十分であるとのことで、不動産取引にも消費者契約法が適用されることとなりました。
これは、不動産業界において、長年にわたり商慣習として認められてきた実務慣行が法的に無効とされる可能性があるのです。実際に裁判例において、今まで不動産業界において行われてきたいくつかの
実務慣行について、消費者契約法違反であることを理由に法的に無効であるとする判断が多数示されているからです。具体的には、通常損耗を賃借人負担とする原状回復特約の無効、敷引特約の無効。
また、定額補修分担金特約については、京都地裁において無効とした判決と、有効とした判決とに判断が分かれましたが、これらの判決はいずれも控訴され、大阪高裁において、いずれについても定額補修分担金特約は
無効であるとする控訴審判決が出されています。
また、更新料支払特約についても、京都地裁では有効であるとする判決がだされましたが、平成21年8月27日の大阪高裁の控訴審判決では逆転し、消費者契約法違反であるから無効であるとする判決が出されています。
その2ヶ月後の10月29日には、同じ大阪高裁において更新料の支払特約を有効とする判決が出されました。
不動産取引に従事される方々は、まず消費者契約法の仕組みを正確に理解する事が重要です。

- 業界の話題になっている更新料訴訟について、無効とされたり、有効とされたりと裁判所の判断も分かれています。これまでの更新料訴訟の経緯について教えてください。
- 【答】
- 平成21年8月27日、大阪高裁は更新料支払特約について、消費者契約法10条に抵触するとして無効とする判断がくだされました。さらに10月29日には、同じく大阪高裁で更新料の支払特約を有効とする判決が出されました。
【解説】
全国的な注目を集めた「京都更新料裁判」は、8月27日、大阪高裁で控訴審判決が下され、貸主側に対し「借主側に45万5千円などを支払え」と、ほぼ全面的に貸主側敗訴の判決を下しました。1月30日に更新料支払特約は消費者契約法10条に該当するものではないとした京都地裁の判決を変更し、更新料支払特約は公序良俗に反するものではないが、消費者契約法10条に該当し、無効であるとの判断を示しました。京都地裁での貸主側全面勝訴に対し完全な逆転判決になったわけです。
判決理由の中で大阪高裁は「更新料の額が月額賃料の2ケ月分余りと高額であること、元賃借人は家主と比較すると建物賃貸借について情報に疎く、本件更新料約定は一見低廉な賃料であるかのような印象を元賃借人に与え、また、更新料の支払いをしなくても更新がされ得ることに気付かせにくくするという面があるなどからこの更新料条項は消費者契約法10条に該当し無効」であるとしています。
この控訴審判決は、更新料の法的性質を検討した結果、消費者契約法10条の前段の要件である更新料約定が消費者の義務を加重しているか否かについては、「更新契約は、新たな賃貸借契約として、消費者契約法の適用を受け、賃借人は更新料10万円を支払わなければならないとされているから、民法の任意規定の適用される場合に比べて賃借人の義務を加重している」と判断、消費者契約法10条前段に該当するとされました。
次に、平成21年10月29日のケースは、過去に3回の各更新料を支払い、その後に賃借人が建物賃貸借契約を中途解約して建物を退去し、更新料支払条項は消費者契約法10条ないし民法90条に反し無効であるとして、不当利益返還請求権に基づき、過去に支払った3回の更新料の返還を求めた事案です
大津地裁での第一審では、本件更新料支払条項は消費者契約法10条ないし民法90条のいずれにも反するものとはいえないとして、賃借人の請求を棄却しました。この控訴審で大阪高裁は10月29日、本件更新料支払条項は消費者契約法10条ないし民法90条のいずれにも反するものとはいえないとして控訴を棄却したものです。
今回の判決では、礼金と更新料の金額の関係性を明らかにし、その上で、更新料が礼金に比べ相当抑えられているなど適正な金額である限り、直ちに賃貸人と賃借人の間に合理性のない不均衡を招来させるものではない、としています。さらに、賃借人は、様々な情報を得た上で更新料が設定された物件を選んでいることから、
中途解約の際に返還されなくても借主にとって一方的に不利益ということはないと結論付けています。
この判決は、更新料の法的性格を、更新後の期間に対する「賃借権設定の対価の追加分ないし補充分」であると判断されています。いずれにしても、今後の最高裁の判断が待たれます。

- 前号の更新料訴訟の他にも原状回復や敷金精算等、消費者契約法に関する訴訟事案がこのところ増えています。管理会社として、消費者契約法対策にはどうしたらよいでしょう。
- 【答】
- 消費者契約法の基本構造と無効とされる判断基準を検討し、具体的事例である判例を検討することが必要です。
【解説】
敷金の精算特約に消費者契約法が適用された著名な判例がありますので参考にしてください。このケースは、最初に賃貸借契約を締結したのが平成10年です。消費者契約法が施行されたのは平成13年4月1日ですから、
消費者契約法が制定される前に締結されていた賃貸借契約についての判決です。賃借人(入居者)は、平成10年7月に賃貸人(家主)と賃貸借契約を締結した際に、敷金として20万円を預託しました。
この賃貸借契約では、退去時の原状回復について、「@自然損耗及び通常の使用による損耗について賃借人は原状回復義務を負担する。A原状回復費用は家賃に含まないものとする」との特約がなされました。
本件賃貸借契約は合意により1年ごとに更新され、平成14年6月9日に賃貸借契約が終了し、賃借人は同日に建物を明渡しました。その際、賃貸人は原状回復費用として敷金全額を要したとして、敷金の返還を拒否したことから、
賃借人が敷金20万円の全額を求めて訴えを提起した事案です。
消費者契約法に違反するような契約書を使用させたことは仲介業者の不法行為であるとして、仲介業者も賃貸人と連帯して敷金を支払えという訴えが提起されたものです。
京都地裁は、更新後の賃貸借には消費者契約法が適用されること、賃借人は賃貸借契約締結の意思決定にあたって十分な情報を有しておらず賃貸人または管理会社が作成した賃貸借契約書の契約条項の変更を求めるような交渉力を有していないことから、
賃借人の利益を一方的に害するものと解するのが相当として、賃貸人に対し敷金の全額の返還を命じました。
なお、仲介業者に対する訴えについては請求を棄却しました。「入居者に通常損耗を負担させる特約をしたのは消費者契約法違反であり、本来、不法行為である。しかし、消費者契約法が施行された3ヶ月後の平成13年7月に更新の合意がなされており、
不法行為ではあるが、こういう行為が不法であるということを仲介業者は認識することができなかった」という理由で京都地裁は不法行為を否定しました。賃貸人により控訴がなされましたが、
大阪高裁は、
@自然損耗を賃借人負担とする原状回復特約は不当条項であるが公序良俗違反ではない
A更新後の賃貸借契約には消費者契約法の適用がある
B原状回復特約は賃借人に一方的に不利益な条項であり、信義則に反するものであるから消費者契約法10条違反であると認定し賃貸人の控訴を棄却しました。

- 国土交通省は、家賃等の悪質な取り立て行為の禁止などを盛り込んだ「追い出し規制法案」(通称)を与党に提示しましたが、この新法案の概略はどういうものなのでしょうか。
- 【答】
- 賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化および家賃等の取り立て行為の規制等に関する法律案が、この「追い出し規制法案(通称)」です。
【解説】
近年、いわゆる「ゼロゼロ物件」の入居者などに対する追い出し行為の被害が相次ぎ、グラフにあるとおり鍵の交換、深夜におよぶ督促など家賃等の悪質な取り立て行為が平成16年に比べ10倍以上に増加し、
被害にあった入居者から提訴される事案も増えています。昨年12月には、追い出し屋によって事実上退去させられた被害者が訴えた訴訟について、姫路簡裁は、追い出し行為に直接関わった不動産会社に加え、
家主に対しても「社会的に許されない」として、家主の使用者責任を認定する判決が出されました。
こうした動きを受けて提示された「追い出し規制法案」(通称)は、賃貸住宅の家賃等の悪質な取り立て行為の発生等の家賃の支払いに関連する賃貸住宅の賃借人の居住をめぐる状況にかんがみ、賃貸住宅の賃借人の居住の安定の確保を
図るため、家賃債務保証業の登録制度の創設、家賃に係る債務の弁済の履歴に関する情報の収集および提供の事業を行う者の登録制度の創設、家賃等の悪質な取り立て行為の禁止等の措置を講ずるための法律案です。
この法案は全80条、3本立ての構成ですが、うち最も対象者が広範なのが、家賃関連債権の不当取り立て行為を規制する第60条です。その趣旨は「悪質な取り立て行為による賃借人の私生活の平穏の侵害を防止」、
対象者は「家賃債務保証業者、賃貸管理業者、賃貸事業者(大家)、取立事業者」となっています。禁止される行為としては「人を威迫(人に不安を感じさせること)し、又は人の私生活もしくは業務の平穏を害するような言動」を一般的に禁止しています。
面会や文書送付、貼り紙、電話等の手法を問われません。特に、鍵交換や住居内の私物撤去・処分、早朝・深夜の督促は堅く禁止されています。
そして、この法案の柱となるのが、罰則です。悪質な取り立て行為と認定された場合、違反者には2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が課されています。
法案は、2月23日閣議決定され、施行日は平成23年4月に施行の見込みです。

- 住宅・不動産関連の平成22年度税制改正について、どのような改正があるのか、その概要を教えて下さい。
- 【答】
- 今回の改正は、適用期限の2年延長ということが多いのですが、住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の特例措置の拡充や小規模宅地等の相続税の課税価格の評価減の改正などが大きな特徴と言えるでしょう。
【解説】
【1】特定の居住用財産の買換等の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長
多様なライフステージに応じた円滑な住替えを支援し、居住水準の向上、良質な住宅ストックの形成を図るため、@特定の居住財産の買換等、A居住用財産の買換等の場合の譲渡損失の繰越控除等、B特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等について、適用期限が平成22年1月から【2年間延長】されました。
ただし、譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下に限定されます。
【2】住宅取得資金に係る贈与税非課税枠の拡大
厳しい経済情勢の下、住宅着工戸数が低水準で推移する状況を踏まえ、高齢者の保有する眠れる金融資産を活用し、若年世代等の住宅取得を支援するため、住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置について、経済対策のための時限措置として、所得制限(2,000万円)を付した上で、以下のように引き上げます。
■ 非課税限度額……現行500万円
○ 平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者……1,500万円
○ 平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者……1,000万円
【3】住宅取得資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例
平成22年1月1日から特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例は廃止されます。ただし、年齢要件(65歳未満)の特例措置の適用期限が2年延長されます。したがって、2,500万円まで親の年齢に関係なく住宅取得資金の相続時精算課税を受けることができます。
【4】小規模宅地等の相続税の評価減の改正
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、相続人等による事業または居住の継続への配慮という制度趣旨等を踏まえ、以下のように改正されました。
1.相続人等が相続税の申告期限まで事業または居住を継続しない宅地等(現行200uまで50%減額)を適用対象から除外されました。
例えば、被相続人の自宅の敷地を遠方の持家に住む子供が相続した場合において、従前は50%の評価減の適用を受けることができましたが、改正によりできなくなります。
2.共同相続があった場合において、取得した者ごとに適用要件を判定します。
3.一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに、特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算します。
4.被相続人の居住の用に供されていた宅地等が複数ある場合において、240uの限度面積以下ならば、各宅地等について80%の減額適用とされていましたが、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化されます。
この改正については、平成22年4月1日以後の相続または遺贈による小規模宅地等に係る相続税について適用されます。

- 前号において、本年度の税制改正における相続税の『小規模宅地等の特例』の適用要件の見直しについて解説いただきましたが、もう少し詳しく教えてください。
- 【答】
- 今年度の税制改正において、〈小規模宅地等の特例〉の適用要件の見直しが行われ、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する宅地等について適用されます。この改正により今後は誰がどのように宅地を相続するかによって相続税の税額にも影響を及ぼしますので制度を十分理解した上で活用することが重要です。
【解説】
相続税の〔小規模宅地等の特例〕は被相続人や相続人等の生活の基盤である自宅や事業用宅地の一定の小規模面積について、
相続税の課税価額を80%または50%減額する特例制度です。 特例の対象となる宅地は「居住用宅地」と「事業用宅地」で、
その要件によって減額される面積が「200u、240u、400u」と異なります。
この特例を受けられる人は、これらの宅地を相続や遺贈により取得した人で、取得者が相続人であるか、親族であるかは問いません。
取得者が被相続人の配偶者か一定の要件を満たす相続人等かによって減額される面積と減額の割合が異なり、被相続人の配偶者か、
一定の要件を満たす親族が取得した場合には減額される対象面積や減額割合が大きくなります。
具体的には、被相続人の自宅や事業用の宅地を取得した場合、相続税の課税価格が200uまでについて50%減額されます。
さらにその宅地を一定の要件を満たす被相続人の配偶者や相続人等が取得すれば「事業用宅地」の場合は400uまでについて80%減額、
「居住用宅地」の場合は240uまでについて80%減額されます。
●居住や事業を継続して行わない場合は特例の適用対象から除外
この制度は被相続人から相続人等が受け継いだ自宅への居住や事業の継続を今後も引き続き行えることに配慮して設けられた特例制度ですが、
改正前では、相続後に相続人等が自宅への居住や事業の継続をしない場合でも特例が適用でき、減額を受けられることが問題とされてきました。
今回税制改正により適用要件の一部について改正が行われ、相続税の申告期限までに相続人等が居住を継続しなかった場合や、
事業を継続しなかった場合には、その宅地については特例の対象から外れ、減額できないこととなりました。
●取得者ごとに適用要件を判定 改正前では適用要件を満たしている者と適用要件を満たしていない者が共同で宅地を相続した場合、
適用要件を満たしている者がいれば適用要件を満たしていない者がいても同じ割合で減額を受けることができました。
改正後は一つの宅地について相続人等が共同で宅地を相続する場合には、取得した者ごとに適用要件が判定されます。
よって、減額を受けられるのは適用要件を満たしている者のみで要件を満たしていない者は減額できないこととなりました。
●一棟の建物のうちに「居住用」「貸付用」がある場合
宅地の上に存する一棟の建物のうちに居住用と貸付用がある場合の評価方法についても改正が行われました。
改正前では一棟の建物の敷地に特定居住用宅地(80%減額の対象となる居住用宅地)の要件に該当する部分と、それ以外の部分がある場合には、
その敷地全体に対して80%減額が適用できました。改正後は敷地を居住用部分とそれ以外の部分に按分して計算することになります。
この〔小規模宅地等の課税の特例〕の改正により、路線価が高い都心部などに土地を所有している方にとっては今後の相続税対策に大きな影響が出ると思われます。
また、〔小規模宅地等の課税の特例〕につきましては適用要件が非常に細かいため適用を検討する際は必ず専門家にご相談下さい。

- 激増する賃貸トラブルの未然防止のため、日管協では「めやす賃料表示制度」を創設するとのことですが、この制度の概略について教えてください。
- 【答】
- 財団法人日本賃貸住宅管理協会は、このたび「めやす賃料表示」を創設し、この10月から同協会の会員が開始する運びとなっています。これは借主に適格な賃料関連情報を提供することで、業界全体の信用を高め、かつ激増する賃料関係トラブルの未然防止に役立つ制度です。
【解説】
「めやす賃料表示制度」とは、賃貸借契約に基づいて賃借人が負担する金銭が必ずしも賃料だけではないことから、賃借人が実際に負担する可能性のある金額をわかりやすく把握できるようにするため、4年間賃借して賃料・共益費(管理費)、敷引金、礼金、更新料の総額を48(12ヶ月×4年)で割り算し、1ヶ月当たりの想定される負担額を示したものをいいます。ただし、賃料や更新料は4年間は変わらないものと仮定しています。
「めやす賃料表示制度」を用いることにより、消費者である賃借人は、更新料や敷引金など、従来では契約締結時には現実的な負担として認識することが少なかったものについても、契約締結の段階から明確に認識することができるようになるものと考えられます。
このことは、「めやす賃料表示制度」のように、消費者が実際に負担することが想定される金額を分かりやすく提示することにより、消費者が契約締結の際に必要となる適切な情報を提供することができ、トラブルの防止に役立つとともに、消費者である賃借人と、事業者である賃貸人とが、対等な立場で契約条件を十分に検討し、交渉した上で取引することが可能になるものと期待されます。このような場合には、消費者契約第10条後段の要件である「民法1条2項の基本原則に反し、消費者の利益を一方的に害する」ものとはいえないと評価がされる余地が出てくるものと期待されます。

- 仲介業者の借主への事前説明義務について、業者は借主へどの程度まで説明を行う必要があるのでしょうか。
- 【答】
- 宅建業者である仲介業者は、宅建業法上の説明義務を負っています。この宅建業法上の説明義務は行政法上のものです。しかし、宅建業者である仲介業者は、民法・商法上も説明義務を負い、これに違反すると、債務不履行責任(民法415条)を追及されることがあります。
【解説】
賃貸借契約を結ぶと、貸主は、借主に対してその物件を使用に適した状態で貸す契約上の義務を負います。それ以外にも、貸主は、賃貸借契約の準備期間中も、借主が損害を負わないように誠実に行動するという付随的な契約上の義務を負っていると考えられています。
このような付随的義務の一つとして、貸そうとしている物件について、特殊な事情があり、かつそれを告げないと借主が損害を負うとか、契約を結ばないといった事情があるような場合には、貸主はその事情を借主に対して説明する義務があるといえます。
例えば、このような事例があったとします。「借主がマンションに入居した。ところが、すぐ下の部屋が暴力団の幹部の部屋で。毎朝若い黒服の男が数人、外車をマンションに横付けして迎えに来る。その時間は怖くて外へ出られない。近所の人によると、このマンションは、過去に発砲事件もあった」
借主は、賃貸借契約を解除し、損害賠償請求できるでしょうか? 答えは、「一般的にはできる」ということになります。
賃貸ではありませんが、売買の事例で、「瑕疵」には、物理的欠陥のみならず、いわゆる心理的欠陥も含まれるとして、暴力団の存在を「瑕疵」と認めた裁判例(東京地裁平成9年7月7日判決)があります。そのため、瑕疵担保責任に基づく契約解除、損害賠償の主張が認められる可能性があるのです。(民法570条、559条)
では、仲介業者はどのような責任を負うのでしょうか? もし暴力団員の存在を知っていたならば、契約締結の判断に影響を及ぼす重要な事項であるため、宅建業法47条違反となります。そして、存在の説明をせずに仲介業務を行ったならば、「善良なる管理者の注意義務」に違反したことになり、民事上の損害賠償責任(民法415条)を負う可能性があります。
ここにいう「善良なる管理者の注意義務」とは、客観的に明らかな事実、仲介業者が知ることができた事実、仲介業者が知らなくても調査すれば分かるような事実、近所でも有名な事実等のことをいいます。

- 昨今、企業活動におけるコンプライアンスに対する意識が高まっています。「法律遵守」と訳されますが、広義の意味でのコンプライアンスとはどういうことなのでしょうか。
- 【答】
- ご質問のように、コンプライアンスとは、一般的には「遵法経営」または「適法経営」という訳語があてられています。企業は法を遵守して経営にあたるべきであるという
極めて常識的な内容に思われるのですが、コンプライアンスは比較的最近の議論です。それでは、なぜ最近になってコンプライアンスが議論され、
重要視されているのでしょうか。
この点がコンプライアンスを理解するための最初のポイントです。
【解説】
なぜ最近になってコンプライアンスが重要視されているのでしょうか。
確かに法令は昔から守るべきものなのですが、実はコンプライアンスという概念はただ単に法令だけを守っていればよいという認識はされてはいないのです。
コンプライアンスとは法令を遵守するとともに、企業活動と社会的な倫理や社会通念上のルールとの整合性を図ることであると認識されているのです。
企業は利潤を追求するための営利社団法人ですので、なぜ、営利企業が法令を守ることでは足りず、社会的な倫理や社会通念上のルールとの整合性をとることを要求されるのかということが疑問になるかと思います。
その理由は、われわれの経済活動の社会的な基盤条件が昔とは大きく変化しているからです。
現在では、消費者の意向を無視しては経営は成り立ちにくくなっています。インターネットの発達は、それまでの「物言わぬ消費者」から、
消費者がインターネット等を通じてあらゆる企業情報を一瞬にして世界に情報発進することができる状況へと変化させました。
企業がコンプライアンスを軽視し、社会的な倫理と乖離した行動をとった場合、その事実が広く社会に発信されて、時には企業の存立すら危うくすることがあります。
このことは管理物件の鍵の悪用事件の事例等が示しているとおりです。
つまり、最近の企業を取り巻く環境が大きく変化し、たとえ利潤の追求を目的とする営利企業といえども、コンプライアンスを無視することは、
その企業自身に大きな不利益をもたらすことが明確となってきているのです。
コンプライアンスを正確に理解するためには、コンプライアンスを軽視すると、どのような事態が生ずるのかということをしっかりと理解することが重要です。
一般的には、@刑事責任(罰金、懲役・禁固等の刑罰)、A民事責任(損害賠償責任、謝罪広告等)、B行政責任(免許取消その他)、C風評被害等々のかなりの不利益を覚悟しなければならなくなります。

- 過去に企業のコンプライアンスを問われた事例で代表的なものが新宿歌舞伎町雑居ビル火災だと思いますが、この火災の顛末はどうだったのでしょう。
- 【答】
- この火災は放火ながら、ビルの防火管理体制の不備により、防火扉付近に荷物が置かれていたため、被害が拡大したとして、ビルのオーナー、テナント経営者、管理会社ら6名が業務上過失致死等で起訴され、刑事責任が追及されました。
【解説】
A.第三者犯罪行為による建物所有者や管理会社の責任
平成13年9月1日、戦後5番目の犠牲者を出した新宿区歌舞伎町の雑居ビル火災の出火の原因は、
ビルの3階の踊り場付近の可燃物に第三者が放火した可能性が指摘されており、この時の一酸化炭素中毒による死傷者は44人、
ビルからの飛び降りによる負傷者が3人でした。この火災により、ビル会社の幹部らに「業務上過失致死罪」の容疑で逮捕状が出されています。
しかし、火災の原因が「放火」であったとすれば第三者の犯罪行為であり、建物所有者はいわば被害者といってもよい立場です。
建物に放火された場合のように、第三者が犯した犯罪行為について発生した被害についてまで、なぜ建物所有者や管理会社は責任を取らされるのでしょうか。
B.建物所有者や管理会社の責任原因
建物所有者や管理会社の責任が認められるのは、それなりの理由があります。このビル火災では、
@ビル3階の防火扉は、看板や放置された飲料ケースが障害となり閉まらない状態であったこと
Aビル4階の防火扉が粘着テープで固定され、ビルの火災報知器が防火扉閉の信号を出していたにもかかわらず、扉が閉まらず煙や熱が防火扉に妨げられることなく侵入したこと
B階段にはロッカーや大量のゴミが放置され災難時の避難路も十分に確保されていなかったこと等から、管理をする側に消防法上の過失が認められるものと考えられます。
つまり、「オーナー側に過失」が認められる事案であるところに特徴があります。
また、第三者の犯罪行為が元々の原因であったとしても、@防火扉がきちんと管理されて閉まっており、
A避難通路がきちんと管理されて確保されていれば、相当数の人が避難ができて生命が救われていたと考えられる事例であり、管理する側の過失がなければ、
被害が発生しないかあるいは被害が実際に生じたほどには拡大していないと考えられる事案です。このことからオーナー側の義務違反と被害の拡大、発生との「因果関係」を認め、
オーナー側の義務違反の責任が認められたものと考えられます。
C.オーナーが火災警報器を設置していない場合に、入居者の失火により火災が発生し、
入居者が死亡した場合のオーナー責任
平成16年6月の消防法の改正により火災警報器の設置が義務付けられることになりました。新築住宅や改築住宅については平成18年6月1日から、既存の住宅についても自治体により異なりますが、
平成20年6月1日から平成23年6月1日までの間に条例で定められた時から義務化されています。設置していない場合、オーナー側の義務違反の責任が追求される事になります。

- 仲介業者が賃借人に対して更新事務手数料を請求できるのでしょうか。
- 【答】
- 更新事務は、貸主が管理業務の一環として不動産業者(仲介業者)に委託するものであると考えられますので、仲介業者が直接賃借人に更新事務手数料の支払いを義務付けることや請求することはできません。
【解説】
結論から申しますと、更新事務手数料の支払いを賃借人に当然に義務付けること、また、それらを契約書面(重要事項説明書や賃貸借契約書)に記載することは、行政の指導対象となります。
ここで重要なことは、原則として入居者からは更新事務手数料は取れないという事です。
そもそも更新事務(手数料)とは、家主が本来更新手続きを行うところを、家主の代理として仲介業者(管理会社)に業務を委託することにあります。つまり家主は、契約更新事務を管理会社に行わせることで手数料を支払うことになります。
これは、入居者が依頼した更新手続きではなく、家主の依頼に基づく更新手続きですので入居者が更新事務手数料を支払う必要はないということになります。
また、重要事項説明書に更新事務手数料の言及があたっとしても法的な拘束力をもちません。
では、仲介業者(管理会社)が更新事務手数料を受領する際に注意すべきポイントはなんでしょうか。
まず、誰が誰に支払うのかということです。これは、貸主(家主)が仲介業者(管理会社)に支払うということ。契約書面への記載については、貸主(家主)との管理委託契約書に記載することが肝要です。

- 当初賃貸借契約合意で定めた家賃は、変更できないのでしょうか。
借主から家賃の値下請求がきたときはどうするのでしょうか。
- 【答】
- 借地貸家法32条
「借賃増減額請求」に基づき変更することができます。
【解説】
まず、借地借家法32条1項では、『建物の借賃が土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。』と規定しています。
つまり借地借家法32条は、賃貸人と賃借人が賃貸借契約で合意した家賃(入居時家賃額)を基礎として、賃借人が入居後に家賃相場の変動により、その賃料が不相当になった場合いおいては、相当な範囲で賃料の増減を請求できるとしているのです。
では、新規家賃を下げて入居者募集をしたら、従来の借主の家賃も下げる義務があるのでしょうか。
これについては原則、法律上当然に下げる義務はありません。
家賃がいくらかは、それぞれの契約内容によって定まります(契約内容自由の原則)。新規契約の賃料が低いからといって、従来の借家契約の借主は、新規募集賃料額まで自分たちの家賃を下げろと要求することはできませんし、貸主も当然従来の貸家の賃料を新規賃料まで下げる義務は負いません。
ただし、新規家賃の減額が「近隣の相場が下がったことの表れ」であるということなら、値下げの請求には法律上の根拠(借地借家法32条1項)があることになります。

- 最近、賃貸借の媒介等に当たり、宅建業法35条により宅建業者に義務付けられている「重要事項説明」に関するトラブルが増えていると聞きました。どのようなトラブル事例があるのでしょうか?
- 【答】
- 全管協コンプライアンス委員会の資料によりますと、@共同媒介において重要事項説明書に一方の業者の記名押印しかなかった事例、A重要事項説明書に記載すべき事項を記載していなかった事例、B重事項説明を宅地建物取引主任者以外の者が実施した事例、C重要事項説明書を郵送により交付した事例などがあるようです。
【解説】
皆さんご存じのように、重要事項説明とは、不動産の売買契約や賃貸借契約において、買主や借主に取引内容を十分理解してもらい、安全な取引が行われるために、契約の前に契約上の重要事項について、宅建業者が買主や借主に説明する行為です。宅建業法では、重要事項説明に際しては、重要事項を記載した書面「重要事項説明書(35条書面)」を交付して、必ず宅地建物取引主任の資格を持つ者が取引主任者証を明示して説明することが義務付けています。口頭説明だけでは正確な理解が困難な場合もあるため、書面によらなければならないものとされているのです。
ちなみに東京都の場合、原状回復の基本的な考え方や実際の契約書において、借主の負担がどうなっているのかなどについて、宅建業法に基づく重要事項説明に併せて、別途書面を交付して説明するよう宅建業者に義務付けています。これは、「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」(平成16年10月1日施行)、いわゆる「賃貸住宅紛争防止条例」といわれるものです。
同条例によると、宅建業者が説明する具体的な内容として、条例施行規則第2条第3項に基づく「説明を適正に行うために必要な事項」を定めています。
答にあります4つの事例はいずれも行政庁(国交省や都道府県)から指導や処分を受けた事例です。
まず@は、一取引に複数の業者(元付業者、客付業者)が関与する場合において、重要事項説明書に一方の業者の記名押印しかなく、記名押印していなかった業者が行政処分を受けた事例です。
共同媒介では、一部の重要事項説明書に「相乗り」することは認められています。しかしその場合、共同媒介の一業者が説明すれば他業者は「重要事項説明」を省略してよいとは行政庁はしていません。そこで媒介に関与する業者は、重要事項説明書に連盟で記名・押印しておくことが必要であることに注意してください。
Aは、重要事項説明書に記載すべき事項を記載・説明しておらず、行政処分を受けた事例です。
宅建業法35条記載事項(同法施行令規則含む)およびその他重要な事項は、漏れなく記載・説明することが求められています。
ちなみに、記載漏れが多いと指摘された項目は、次のような事項です。
●抵当権や差押え等、登記簿に記載された事項
●賃料以外に授受される金銭の額およびその時期と目的(とりわけ礼金の他、火災保険料、鍵交換費用、その他入居条件となるサービスに要する費用等)
●原状回復などの内容
●損害賠償額(解約違約金、遅延損害金等の予定)に関する定めがあるときは、その約定
●敷金精算における「敷引き(償却)」等の特約の有無
●建物等の管理が委託されているときは、委託先
●その他、賃借人に不利益を及ぼすと思われる事項
これらの要説明事項は、まずは借受け希望者のための説明ですが、媒介業者にとっては、トラブル防止のいわば「自己防衛」でもあるのです。
Bは、重要事項説明を宅地建物取引主任者資格を持たない従業員が実施したとして、行政処分を受けた事例です。
これは言わずもがなのことですが、宅建業法35条(重要事項の説明等)4項において、重要事項説明は宅地建物取引主任者が、説明の相手方に対し、取引主任者証を提示し実施しなければならないと定めています。
業者はプロ(職業人)ですが、その中のスペシャリスト(専門家)をして説明させようということです。
ところで、取引主任者については、そもそも「取引主任者がいない(不設置)」で行政処分されているケースがあることにもご留意ください。
ちなみに、全管協コンプライス委員会メールマガジン(2月11日)によりますと、全国都道府県別の行政庁による監督処分事例では、『宅地建物取引主任者の設置』に関するものが大きな割合を占め、平成21年度の処分件数163件の内32件(19.6%)、平成22年度の処分件数102件の内27件(26.5%)になっているということです。
処分内容については、『指示』が平成21年度18件(56.2%)、平成22年度17件(63.0%)あり、その処分理由については、
●取引主任者が不在となった後、2週間以内に次の取引主任者が設置できなかったケース(未設置期間が1年を超えるケースでも、他に違反項目がなければ概ね『指示』となっているようです)
次に、処分内容が『業務停止』を受けた業者は、平成21年度11件(34.4%)、平成22年度7件(25.9%)あり、その処分理由は、
●取引主任者が不在の状態で、他の違反行為(重要事項の説明等)を重ねたケース
●取引主任者の不在期間が特に長いケース(3年間)
さらに、処分内容が『免許取消』については、平成21年度3件(9.2%)、平成22年度3件(11.1%)あり、その処分理由は、
●取引主任者不在の状態で、他に複数の違反行為を重ねたケース
●取引主任者不在で指示処分を受けたが、その措置状態について報告されないケース
●専任の取引主任者でないものを、専任の取引主任者と虚偽の申請を行い、免許を取得したケース
があるということです。
Cについては、重要事項説明書を郵送により交付し、対面により(取引主任者により主任者証を提示して)行われなかったため、行政処分を受けた事例です。
これも、宅建業法35条(重要事項の説明等)4項に基づき、法人契約や遠隔地の入居希望者の場合でも、重要事項説明は必ず対面で行うことが原則ですので、注意が必要です。

- 未曾有の被害をもたらした今回の東日本大震災ですが、このような大災害が起きた場合に対応するために制定されている法律には、どのようなものがありますか。
- 【答】
- 災害救助法や被災者生活再建支援法、罹災都市法、災害弔慰金の支給等に関する法律、権利保全特別措置法など、災害応急対策や災害復旧に関しては様々な法律があります。
【解説】
以下に主なものを紹介しますが、これらは阪神・淡路大震災をきっかけに制定されたものもあり、今回の東日本大震災のように、原発問題も含め人知をはるかに超えた未曾有の被害をもたらした大震災には到底対応できうるものではありません。現在、緊急対応策が続々と講じられていますが、被災者の保護と生活復興を支援するためには、一日も早い新たな法整備が急務となっています。
1 災害救助法
この法律は、災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体および国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、被災した者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的としています。救助内容は、@避難所や応急仮設住宅の供与、A炊出し等による食品の給与や飲料水の供給、B被服、寝具等生活必需品の供与または貸与、C医療および助産、D被災者の救出、E被災住宅の応急修理、F生業に必要な資金等の貸与、G学用品の給与、H埋葬などです。このうちEの被災住宅の応急修理に関しては、半壊住宅で1か月以内に修理可能な場合に、世帯あたり51万円を限度として応急修理費が支給されます。
2 被災者生活再建支援法
自然災害により生活基盤が著しい被害を受けた場合に、自立した生活の再開と生活の立て直しのための支援を目的とした法律です。阪神・淡路大震災をきっかけに議員立法により平成10年5月に制定され、平成16年4月1日の改正案においては、支給対象や支給額、支給方法などが拡充されました。
支援金の支給対象となる世帯は、地震や津波により住宅被害を受け、市町村から、その被害程度を証する「罹災証明書」の交付を受けた世帯で、世帯の構成員が複数(複数世帯)の場合、「基礎支援金」として全壊世帯に100万円、大規模半壊世帯に50万円が支給され、「加算支援金」として、住宅を建設・購入する場合は200万円、補修する場合は100万円、賃借する場合は50万円加算され、最大300万円の支援金の給付が認められており、賃貸住宅にも適用されます。また、単身世帯の支給額は、複数世帯に対する支援金の4分の3となります。
3 罹災都市法(罹災都市借地借家臨時処理法)
この法律は、第二次大戦の戦後復興を目的として制定されたものですが、大災害についてこれまでも適用されています。既存の借地権の保護や、滅失した建物の借家人の保護を目的とした法律で、@借地権の対抗力存続(建物が滅失しても5年間は対抗力が与えられる)、A借地権の残存期間延長(残存期間が10年未満であっても10年に延長される)、B借家人の敷地優先賃借権(滅失した建物の借家人は、建物敷地の所有者に対し敷地の賃借の申出をすれば、他人に優先して借地権を取得できる、既に借地人がいる場合には、申出によって他人に優先して借地権を譲り受けることもできる、C借家人の建物優先賃借権(滅失した建物の借家人は、その土地に新たに築造された建物について賃借の申出をすれば、他人に優先して賃借できる)などがその内容となっています。
4 災害弔慰金の支給等に関する法律
災害により死亡した者の遺族に対して支給する災害弔慰金、災害により精神または身体に著しい障害を受けた者に対して支給する災害障害見舞金および災害により被害を受けた世帯の世帯主に対して貸し付ける災害援護資金について規定した法律です。
災害により死亡した者の遺族に対して支給される災害弔慰金(最高500万円)、災害により精神や身体に著しい障害を受けた者に対して支給される災害障害見舞金(最高250万円)があります。また、世帯主が負傷し療養に1か月以上要する場合などに、生活の立直しを援助するために、災害により被害を受けた世帯の世帯主に対して貸し付ける災害援護資金もあります(限度額は350万円)。
5 権利保全特別措置法(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律)
この法律は特定非常災害特別措置法とも呼ばれ、被災者の権利利益の保全を目的とした法律です。@行政上の権利利益に係る満了日の延長、A期限内に履行されなかった義務に係る免責、B債務超過を理由とする法人の破産手続開始の決定の特例、C民事調停法による調停の申立て手数料の特例、D建築基準法および景観法による応急仮設住宅の存続期間の特例があります。このうちBについては、被災により債務完済不能となった法人に対しても一定期間破産手続開始決定を行わないとするものです。また、Cについては借地借家関係など被災に起因する民事紛争について調停申立手数料を免除するものです。

- 前号において災害対応に制定された法律で罹災法が紹介されていましたが、この法律における優先借家権とはどのような制度なのですか。
- 【答】
- 罹災法(罹災都市借地借家臨時処理法)により、罹災した建物の借家人には、借家の目的となっていた建物の敷地上に土地所有者が建てた建物に優先的に入居することができます。これが優先借家権と呼ばれる制度です。
【解説】
罹災法(罹災都市借地借家臨時処理法)は今回の東日本大震災の被災地に対しても適用されました。同法では、借地人、借家人の保護を目的とした、優先借地権(罹災法2条)、優先借家権(罹災法14条)を設けています。
罹災法14条には『罹災建物が滅失し、又は疎開建物が除却された当時におけるその建物の借主は、その建物の敷地又はその換地に、その建物が滅失し、又は除却された後、その借主以外の者により、最初に築造された建物について、その完成前賃借の申出をすることによって、他の者に優先して、相当な借家条件で、その建物を賃借することができる。』と記されています。
建物が全壊し、滅失すると借家権は消滅します。しかし、罹災建物の借家人には、罹災法が定める一定の要件を満たせば、貸主が新たにその土地上に築造した借家を優先的に借り受ける権利が発生するというものです。
優先借家権の要件としては、@借主(申出人)以外の者によって、その建物の敷地または換地に最初に築造された建物であること、A建物完成前に申出をすること、B借家人の申出により当然に借家契約が成立するわけではなく、その成立には、地主の承諾(みなし承諾を含む)が必要となります。また、地主の承諾拒絶には正当事由が必要となります。
次に、優先借家権の効力ですが、借家人に認められるのは、新たに建てられた建物に入居する権利であり、土地所有者や借地人に建物の建築を求めることはできません。また、借家人には新たに築造される建物の種類・構造・建築時期について希望を述べることもできません。
建て替えられた借家の優先借家権は、新たな借家権の設定とみられますので、その条件は、貸主・借主の協議によって定まることになります。
もしも貸主が、高い家賃、敷金、礼金等を要求した場合、借家人は罹災法16条による借地非訟の手続きを起こせば、裁判所はこれらの契約条項の変更(減額)をすることができるとしています。

- 敷引特約の有効性が争われた裁判で、最高裁は、敷引金が高すぎなければ有効と判断し、借主敗訴が確定しました。
今後の業務に影響を及ぼす重要な判決だと思いますが、簡単に裁判の概要について教えてください。
- 【答】
- 最高裁が平成23年3月24日に下した判断は、「敷金から差し引く額を事前に決めておくことで補修費用を巡る争いを防ぐことができるため、あまりに高額でなければ借り手が一方的に不利とはいえない」として、「一定の要件を満たした敷引特約は有効」としました。
【解説】
本件訴訟を起こしたのは京都市の男性で、月額9万6000円の家賃でマンションを借りた際に支払った保証金(敷金)40万円のうち、退去時に敷引特約で21万円が差し引かれたため、「部屋の傷や汚れと無関係に一定額を差し引く特約は消費者契約法に反する」として返還を求めました。
これに対し最高裁は、本件の敷引特約が経過年数に応じて2倍弱ないし3・5倍強にとどまっていること、及び更新時に1か月分の賃料相当額の更新料のみで礼金等の一時金の支払義務がない等、特約の一定の要件を満たしており、金額は決して高額といえず、賃貸人が説明責任を果たした上で、賃借人も合意の下、敷引特約を締結していることから、消費者契約法に違反しないと判断しました。
●判決概要
『消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は、当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、賃料の額、礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法第10条により無効となると解するのが相当である。』とし、最高裁は、敷引の金額があまりに高いと、信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものとなり、消費者契約法10条により無効となる場合もあると判断しました。
そして最高裁は、本件の特約の場合、契約締結から明渡しまでの経過年数に応じて敷引額を18万円から34万円としており、敷引金の額が契約年数や建物の場所、専有面積に照らし、本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるとまではいえないとしました。つまり、本件では、自然損耗の補修費用を賃借人に負担させてもよいとしています。
また最高裁は、本件契約における賃料は月額9万6000円であって、本件敷引金の額は、1年未満の場合で賃料額の2倍弱、5年以上で3・5倍強にとどまっていることに加えて、賃借人は、本件契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには、礼金等他の一時金を支払う義務を負っていないことから、本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず、本件特約が消費者契約法第10条後段の「消費者の利益を一方的に害する」とはいえないので、同条で無効にはならないと結論づけました。
●最高裁判決の注目点
今回の最高裁判決は、@自然損耗の原状回復費用を特約で賃借人に負担させることを認めた、A自然損耗の原状回復費用を定額で徴収することを認めた、B2年に1回の更新料、礼金の代わりに2か月強の敷引なら高額ではなく、消費者契約法第10条に反しないとした点に整理できるのではないでしょうか。7月15日に判決が下される更新料裁判にも影響を及ぼすことは間違いありません。

- 7月15日、注目の更新料裁判で、最高裁では「更新料は原則有効」との判決がでました。
不動産業界にとっては一安心といったところですが、この裁判の経緯と、今後の実務への注意点について教えてください。
- 【答】
- この裁判は、更新料の支払いを義務付けた特約条項が有効か、無効かが争われた3件の上告審判決で、最高裁は「特約条項が契約書に明記され、資料、更新期間などに照らして高額すぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法には違反しない」と判断を示したものです。
【解説】

3件の訴訟は、図に示すように一番の地裁段階では有効が2件、無効が1件、二審の高裁では逆に無効が2件、有効が1件となっていました。注目すべきは平成21年8月27日の大阪高裁判決で、本件更新料特約は以下の理由で消費者契約法に違反するとしました。
ア 更新料は法律的には容易に説明することが困難で、対価性の乏しい給付である。
イ 更新料がある場合は、本件賃借人にかなり大きな経済的負担を生じる。
ウ 更新料は、一見低い月額賃料を明示して賃借人を誘引する効果がある。
エ 本件更新料約定は、客観的に情報収集力の乏しい本件賃借人から借地借家法の強行規定の存在から目を逸らせる役割を果たしている。
オ 本件賃借人は実質的に対等にまた自由に取引条件を検討できず契約した。
この大阪高裁の判決は、一連の更新料裁判の流れを決めたかに思われていたため、7月15日の最高裁判決が注目されていました。
更新料の法的性質について
最高裁の判決内容では、更新料の法的性質に言及されました。
更新料は、期間が満了し、賃貸借契約を更新する際に、賃借人と賃貸人との間で授受される金員です。
これがいかなる性質を有するかは、賃貸借契約成立前後の当事者双方の事情、更新料条項が成立するに至った経緯その他、諸般の事情を総合的に考慮し、具体的事実関係に即して判断されるべきものです。
しかし更新料は、賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払いにより賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからすると、更新料は、一般に賃料の補充ないし前払い、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するとして、経済的合理性があるとしました。
消費者契約法10条前段要件
消費者契約法10条の前段要件である「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって」に該当するかということについては、消費者契約の条項を無効とする要件として、当該条項が、民法等の任意規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重するものであることを定めるところ、ここにいう任意規定には、明文の規定のみならず、一般的な法理等も含まれると解するのが相当であるとしました。
そして、賃貸借契約は、賃貸人が物件を賃借人に使用させることを約し、賃借人がこれに対して賃料を支払うことを約することによって効力を生ずる(民法601条)のであるから、更新料条項は、一般的には賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味において、任意規定の適用による場合に比し、消費者である賃借人の義務を加重するものに当たるというべきであると示しました。
消費者契約法10条後段要件
次に、「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」とした消費者契約法10条後段要件については、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは、消費者契約法の趣旨、目的に照らし、総合的に考慮し判断されるべきで、更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払いに関する明確な合意が成立している場合に、賃借人と賃貸人との間に、更新料条項に関する情報の質および量ならびに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存するとみることはできず、そうすると、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないとしました。
更新料有効判決の意義
今回の最高裁の判断は、@更新料について経済的合理性を認め、消費者契約法10条に違反しない事を明示、A2年契約で2か月、1年契約で2か月の更新料について、いずれも適法であると判示、B更新料不払いに対して、更新料の支払いを命じました(反還請求を否定しただけでなく、積極的に支払い請求を肯定)。
今後の更新料特約の実務への注意点
更新料は有効となりましたが、今後の実務への注意点はどんなものがあるのでしょうか。まず、説明義務と契約書における更新料の明示です。支払時期、金額、返還しない金員である、更新の可否とは無関係である等、説明と契約書への明示が重要です。
次に、募集段階からの十分な告知ということです。これは、不当誘引になってはいけない、賃借人の予期せぬ出費になってはいけないということを考慮しなくてはなりません。そして、高額過ぎてはいけないということです。
今回の判決によるマスコミ報道には、「便乗請求懸念」「賃貸契約残るグレー部分」等々厳しい論調が多いようですが、賃貸業界では「みなし賃料」というきちんとした性質の説明手段がありますので、これを大いに活用するのもいいのではないでしょうか。

- 近頃、「原状回復ガイドライン」再改訂が公表されました。その概要について簡単に教えてください。
- 【答】
- 国土交通省は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について、さらなる普及促進などを図るために、記載内容の補足、Q&Aの見直しや新しい裁判例の追加などを行い、同ガイドラインの再改訂を行い、8月16日公表しました。
【解説】
ガイドラインは、賃貸住宅の退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例及び取引の実務等を考慮のうえ、原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準を国土交通省ガイドラインとして平成10年3月に取りまとめられ、平成16年2月には、裁判事例の追加などの改訂を行いました。改訂後も、敷金・保証金等の返還、原状回復、管理業務等問題が発生しており、社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会の「最終とりまとめ」(平成22 年1月)においても、原状回復ガイドラインを中心としたルールの見直し等が必要との意見が出され再改訂が行われ、今年8月16日公表されました。
今回の再改訂のポイントは、契約書に添付できる貸主と借主の修繕負担分担をはじめとする原状回復の条件に関するひな形の様式を追加するなど、以下の3点です。
(1)賃貸住宅標準契約書との連動を意識した原状回復様式等の追加
(2)残存価値割合の変更
(3)Q&A、裁判事例の追加
(1)賃貸住宅標準契約書との連動を意識した原状回復様式等の追加
退去時の原状回復にかかるトラブルを未然に防止するため、契約時に原状回復条件を契約書に添付することにより、賃貸人・賃借人の双方が原状回復に関する条件を合意することが重要です。そのため、契約書に添付する原状回復の条件(賃貸人・賃借人の改善負担分担、賃借人の負担範囲、原状回復工事目安単価等)に関するひな形の様式が追加されました。
(2)残存価値割合の変更
ガイドラインにおいては、経過年数による減価割合については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を参考にするとしており、償却期間経過後の賃借人の負担が10%となるよう賃借人の負担を決定してきましたが、平成19年の税制改正に伴い当該省令も改正されて、残存価値が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価が1円まで償却できるようになりました。このため、ガイドラインにおける経過年数の考慮も、税制改正に従った形で改訂されました。
(3)Q&A、裁判事例の追加
賃貸借契約において特約を設ける場合の要件について、現行のガイドラインに記載されている内容が不明確であるとの指摘を受け、最高裁判例やQ&Aを追加し、特約の有効性あるいは無効性の明確化を図られました。

- 『賃貸住宅管理業者登録制度』が12月1日よりスタートしました。この制度の概要について教えてください。
- 【答】
- 賃貸住宅管理業に関して一定のルールを設け、管理業者の業務の適正化を図るとともに、貸主と借主の利益を保護するため、平成23年12月1日から国土交通省告示による任意の登録制度が施行されました。
【解説】
現在、民間の賃貸住宅は、住宅ストックの4分の1以上である約1340万戸あり、内8割以上を個人が所有し、さらに、そのうちの約8割の方が、一部または全部の管理を委託しています(総務省『平成20年住宅土地統計調査』、国土交通省『平成22年民間賃貸住宅に関する市場環境実態調査』より)。
賃貸住宅管理業者は、家賃や敷金などの受領事務をはじめ賃貸借契約の更新事務、退去時の立ち会い、敷金の返還など様々な重要業務の管理を貸主から委託され、適切に業務を実施する役割を担っています。
このように賃貸住宅市場における賃貸住宅管理業者の役割は、重要である一方で、賃貸住宅に関する相談件数は年々増加しており、その一因として、賃貸住宅に関係する法律や商慣習が多岐にわたることや、借主のみならず、多くの貸主も管理業務の内容について、必ずしも十分な知識を有していない状況にあることが考えられます。
こうした状況から国土交通省は、賃貸住宅管理業に関して一定のルールを設け、賃貸住宅管理業者の業務の適正化を図るとともに、借主、貸主の利益を保護するため、平成23年度から国土交通省告示による任意の『賃貸住宅管理業者登録制度』を12月1日から施行しました。
賃貸住宅管理業者登録制度の概要
賃貸住宅管理業者登録制度の対象には、貸主から委託を受けて賃貸借契約の更新、解約業務や家賃徴収業務などを行う賃貸住宅管理業者のほか、法律的には賃借人の地位にあるサブリース会社も、実務上は賃貸管理の役割を果たしていることから、この登録制度の対象となっています。
登録した賃貸住宅管理業者は、管理事務の対象や契約内容について重要事項の説明や書面交付、貸主に対する定期的な管理事務の報告などのルールを遵守することとなります。
この登録の有効期間は5年間であり、国土交通省は、登録事業者の情報を記載した登録簿を管理し、一般の閲覧に供します。仮に登録事業者が管理事務に関して不適切な行為を行った場合や関係者に損害を与えた、または与えるおそれがある場合などは、国土交通大臣は業務の適正な運営を確保するために必要な指導や助言、勧告をすることができ、指導等をした場合はその旨を公表することができます。
借主となる消費者は、あらかじめ登録事業者の行う管理方法などの情報を把握し、賃貸住宅を選択する際の判断材料として登録制度を活用することができます。
賃貸住宅管理業者登録制度に基づき、貸主、借主、管理業者の間に適正なルールを設け、信頼関係が構築されることで、紛争の発生を未然に防ぐことができるほか、適切な管理を行う事業者が評価されることにより、賃貸住宅管理業の健全な発展に寄与することが期待されます。
登録と業務
賃貸住宅管理業者登録制度への加入は強制的なものなのか、登録しなければ賃貸管理業務を営むことができないのか、ということを心配になられる管理業者の方もいらっしゃることでしょう。
登録制度は法律ではなく、国土交通省告示(賃貸住宅管理業者登録規程、賃貸住宅管理業務処理準則)として施行されるもので、法人または個人の管理業者が自ら希望して登録する任意の登録制度ですから、強制的な加入や登録しないと営業を許さないというような営業許可制度、免許制度とは異なります。
登録制度への登録は、告示に規定する登録申請書に申請記載事項および添付書類を各地方整備局に提出します。(表参照)
登録業者が遵守すべきルール
登録業者になると、貸主、借主の利益の保護のために、管理業者はどのようなことをしなければならないのでしょうか。
主に借主の利益保護のためのルールとしては、
@ 借主に対する管理内容の書面交付
A 賃貸借契約に関する重要事項の説明(対サブリース業者向け規制)
B 賃貸借契約の成立時の書面交付(対サブリース業者向け規制)
C 賃貸借契約の更新時の書面交付
D 賃貸借契約の終了時における説明
E 管理受託契約等に基づかない借主からの金銭受領の禁止
F 管理受託契約の終了に伴う通知
G 行き過ぎた督促行為の禁止
次に、貸主の利益の保護のためのルールとしては、
@ 貸主に対する管理受託契約内容の重要事項の説明
A 貸主に対する管理受託契約成立時の書面交付
B 財産の分別管理
などがあげられます。
賃貸住宅管理業者登録制度に関する詳細につきましては、国交省ホームページをご覧下さい。
http://www.mlit.go.jp/

- 国土交通省が作成した「賃貸住宅標準契約書」が、このほど改訂されるようですが、改訂の主なポイントについて教えてください。
- 【答】
- 本誌第16号で紹介した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の再改訂や、暴力団排除条例の施行など、社会情勢の変化に伴う法令・条例の再整備に伴い、国交省は「賃貸住宅標準契約書」改訂案を進めていました。昨年12月20日に、この改訂案について意見募集を行い、期間が終了した2月10日公表しました。改訂の主なポイントは以下のとおりです。
【解説】
「賃貸住宅標準契約書」は、平成5年に賃借人の居住の安定と確保、賃貸住宅の経営の安定を図るため、住宅賃貸借の標準的な契約書のひな形として作成されたものですが、改訂は今回がはじめてとなります。
その背景には、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の再改訂による原状回復費用の明確化や、暴力団排除条項が既に全都道府県で施行されたことにより、暴力団など反社会的勢力の排除規定の標準管理規約への盛り込みが必要となったことがあげられます。
〔改訂の主なポイント〕
1.第7条として反社会的勢力の排除が新設されました(以下改訂版から抜粋)。
(反社会的勢力の排除)
第7条 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。
一 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと
二 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力でないこと
三 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと
四 自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
暴力団等の反社会的勢力を排除するために、自らまたは自らの役員が反社会的勢力でないこと(一号、二号)、反社会的勢力に協力しないこと(三号)をそれぞれ相手方に対して確約させることとしています。さらに、自らまたは第三者を利用して、相手方に対して暴力等の行為をしないこと(四号)を確約させています。
2.第14条で明渡し時の原状回復内容を明確化しています。
退去時の原状回復費用に関するトラブルの未然防止のため「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を踏まえ、入居時に賃貸人、賃借人の双方が原状回復に関する条件を確認する様式を追加しました。また、退去時に協議の上、原状回復を実施することを記述しています。
※詳細については国交省ホームページをご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/

- 昨年12月10日に税制改正大綱が発表されました。平成24年税制改正のポイントはなんでしょうか。
- 【答】
- 平成24年度税制改正案で不動産関連の主なものは次のおりです。
@住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長
A特定の事業用資産の買換え特例の見直し
【解説】
税制改正は、例年3月末ないしは4月1日の施行となるのが普通ですが、平成23年度はねじれ国会のなかで成立が遅れ、平成23年6月30日と同年12月2日施行という変則的なものとなりました。
そして、肝心の相続税・贈与税の税率構造の見直しという大問題は見送られ、先の「社会保障・税一体改革素案」において「平成27年以後の相続税・贈与税から施行」とされました。
平成23年12月10日に税制改正大綱が発表された平成24年度税制改正についても、現在の政局では昨年度同様に紆余曲折する可能性が高いですが、方向性を探る意味から大綱を元にポイントを整理します。
平成24年度税制改正案 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等
平成24年度税制改正案で不動産関連の主なものは次の通りです。
@ 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長
A 特定の事業用資産の買換え特例の見直し
@ の住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置として、若年世代への資産の早期移転や
省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅ストックを形成する観点から、拡充・延長されます。
●非課税限度額(適用対象住宅家屋:床面積240u以下)

また、住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例の適用期限を平成26年12月31日まで延長されます。
A「長期(10年超)所有の国内の土地等、建物等から国内の土地等、建物等への買換え」については、
「買換資産(土地等の場合)」の範囲を見直した上で、平成26年12月31日まで適用期限を延長されます。
●「買換資産(土地等の場合)」の範囲

その他の主な不動産関連の改正案として、
@ 特定の居住用財産の買換え等の場合の長期譲渡取得の特例の延長
(譲渡対価の上限を現行2億円から1.5億円に引き下げて、平成25年12月31日まで延長
※平成24年1月1日以降の居住用財産の譲渡が対象。)
A 居住用財産の譲渡・買換えに伴う譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例の適用期限の延長